文藝歴譜タイトル

三浦 しをん (1976.9.23−)
みうら・しをん
1976(昭和51)年、東京都生まれ。早稲田大学第一文学部卒。
父は上代文学・伝承文学研究者の三浦佑之。
出版社への就職を志望していたが、就職氷河期ということもあり全滅。大学を卒業後、アルバイトをしながら執筆活動を開始する。
2000年4月、就職活動の経験をもとに3カ月間で書きあげた処女小説『格闘する者に○』でデビュー。
以後、試行錯誤をしながらも2005年の『私が語りはじめた彼は』で山本周五郎賞候補、同年7月には『むかしのはなし』で直木賞候補となった。
2006年、『まほろ駅前多田便利軒』で直木賞を受賞した。

*読んだ著書*


風が強く吹いている
(2006年刊/新潮社)

〔あらすじ〕
箱根駅伝を走りたい−そんな灰二の想いが、天才ランナー・走と出会って動き出す。
「駅伝」って何?走るってどういうことなんだ?
10人の個性あふれるメンバーが、長距離を走ること(=生きること)に夢中で突き進む。
自分の限界に挑戦し、ゴールを目指して襷を繋ぐことで、仲間と繋がっていく……
風を感じて、走れ!「速く」ではなく「強く」。

〔感想〕
ものすごく面白かったです。僕自身もマラソンを目指して走っているので、走ることのつらさとか面白さみたいなものが
少しわかっているつもりなので、中盤から終盤にかけての予選会、本番の駅伝のシーンでは
何度も涙ぐみそうになりながら読みました。メンバーそれぞれの個性が立っているので、いろいろ感情移入もできるし
箱根駅伝というわかりやすい舞台が、より理解を深めてくれる感じかな。
☆をひとつ下げているのは、やっぱり「素人にしては強すぎる」メンバーかな。
走り始めていきなり、5kmを20分切るペースで走れるかな?そこにリアルな違和感を感じたので、☆を下げました。

評価/★★★★☆


まほろ駅前多田便利軒
(2006年刊/文藝春秋)

〔あらすじ〕
まほろ市は東京のはずれに位置する都南西部最大の町。駅前で便利屋を営む多田啓介のもとに
高校時代の同級生・行天春彦がころがりこんだ。
ペットあずかりに塾の送迎、納屋の整理etc.−ありふれた依頼のはずがこのコンビにかかると何故かきな臭い状況に。
多田・行天の魅力全開の第135回直木賞受賞作。

〔感想〕
なかなか面白かったです。
なんでも屋さんの話って、荻原浩の「最上俊平シリーズ」とか、柴田よしきの「花咲慎一郎シリーズ」とかいろいろあるけど、
大体が群像劇だから、いろいろな登場人物の絡みが面白い。今作は主人公が二人組というのが新しいかな。
直木賞!って言われるほど絶対的にすごく面白いわけではないけど、なかなかの佳作って感じかな。あまり気張らずに読めました。

評価/★★★☆☆


クリスマス・ストーリーズ
(2016年刊/新潮社)

〔概要〕
もう枕元にサンタは来ないけど、この物語がクリスマスをもっと特別な一日にしてくれる―。
六人の人気作家が腕を競って描いた六つの奇跡。
自分がこの世に誕生した日を意識し続けるOL、イブに何の期待も抱いていない司法浪人生、
そして、華やいだ東京の街にタイムスリップしてしまった武士…。
ささやかな贈り物に、自分へのご褒美に。冬の夜に煌めくクリスマス・アンソロジー。

  1. 朝井リョウ/逆算
  2. あさのあつこ/きみに伝えたくて
  3. 伊坂幸太郎/一人では無理がある
  4. 恩田陸/柊と太陽
  5. 白河三兎/子の心、サンタ知らず
  6. 三浦しをん/荒野の果てに

〔感想〕
 6.三浦しをん/荒野の果てに
江戸時代の武士が、現代にタイムスリップしてきてしまうというお話。
そこまで真新しさは感じなかったけど、切支丹狩りにからめてたのは面白かった。
武士二人をもてなしてた現代人カップルの状況理解度が早すぎて、ちょっとびっくり。
そんなにスムーズに動けるものなのか?(笑)

評価/★★★☆☆


舟を編む
(2011年刊/光文社)

〔あらすじ〕
玄武書房に勤める馬締光也は、営業部では変人として持て余されていたが
人とは違う視点で言葉を捉える能力があり、新しい辞書『大渡海』の編纂メンバーとして辞書編集部に迎えられる。
定年間近のベテラン編集者・荒木、日本語研究に人生を捧げる老学者・松本、徐々に辞書に愛情を持ち始めるチャラ男・西岡。
そして出会った運命の女性。
個性的な面々の中で、馬締は辞書の世界に没頭する。
言葉という絆を得て、彼らの人生が優しく編み上げられていく。
しかし、問題が山積みの辞書編集部。果たして『大渡海』は完成するのか…?
2012年度の『本屋大賞』第1位。
2013年に松田龍平主演で映画化された。2016年にはテレビアニメが放送。
2024年には池田エライザ主演でテレビドラマ化された。

〔感想〕
2024年のテレビドラマを観ている流れで原作小説も読みましたが、面白かったです。
ドラマでは岸辺みどり(池田エライザ)が主役格だけど、原作はもう少し前の時間軸で、馬締さんが主役なんですね。
主役が違うと、だいぶ見え方が変わるものですね。
このあたりは原作改変といえなくもないけど、あまり違和感なく思えました。
原作では辞書作りに悩むのは馬締だけど、視点を「より素人」のみどりに移したことで、馬締のキャラがより確立してると思えるしね。
ドラマはまだ完結していない(2024/3/17時点)けど、原作と同じ結末になるのか、それとも…?

(野田洋次郎)

評価/★★★★☆