2003/12/3(水) 新潟テルサ
“100% FAN FUN FAN 2003”(ファンクラブイベント)
第5章・後半


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 Live Act.2

わりと唐突に始まった、聞きなれたイントロ。
ライティングは暗転し、セットの「洞窟」が再び降りてくる。

誰もが、弾かれたように立ちあがり、客席は再び総立ちに。

9.ON THE ROAD

ライブ後半の、魂の叫びがぶつかりあう時間。それが訪れたことを予感した。

今日のコンサートはあくまでもイベントだし、ビデオ上映もあったりで、普段のツアーよりも演奏時間が若干短い。
(逆に言えば、普段が長すぎて贅沢になってしまっているのかもしれないけど)
後半の盛り上がる枠も、たとえば「ON THE ROAD 2001」だったら「DANCE」「MONEY」などがあって、踊って叫んで、
ヘトヘトになったところで「ON THE ROAD」「J.BOY」がくる。
そういう意味では少し物足りない気もするかもしれない。
でも今日に限って言えば、すごくいい時間配分だったように思う。
中盤のトークが長かった分、本編最後の「必殺コーナー」は3曲だけでも充分だったのだ。
それだけで、充分に僕は燃え尽きることができたんだから(笑)

客席は、ものすごい盛り上がりだ。
他の会場に比べたら、たしかに人数は少ないかもしれない。
今時、浜田省吾のコンサートで空席があること自体が信じられないほどだし。
でも、会場の半分しか埋まっていないのに、省吾本人も、メンバーも、決して手を抜いていない。
フルスロットル、100%の熱演だ。
僕たちも、それに応えなければならない。
数の少ない北信越のファンのために、わざわざ来てくれたメンバー、スタッフのために、僕たちも
精一杯の拍手と、歓声と、熱気で応えたい。自然にそう思った。誰もが、そう思っていたはずだ。
大都市のファンにも、決して負けない熱気と、感謝の気持ちがあるってことを、伝えたかった。

もう一度書く。客席は、ものすごい盛り上がりだった。
バラード曲が多くて、盛り上がり足りない人もいたかもしれない。
人によっては数年ぶりの浜田省吾のコンサートで、待ち続けていた思いがあふれたのかもしれない。
人によっては初めての浜田省吾で、夢にまで見た熱気の渦の中に舞い上がる気持ちだったのかもしれない。
今日のコンサートのためだけに美容院に行った人もいるだろうし、卸したての洋服かもしれない。
熱を出した子供を家に残して、どこか気持ちが高揚しきれない人もいたかもしれない。
きっと、この夜集まった767人が、それぞれの気持ちで、思いで、拳を振り上げていたんだと思う。
狭い会場だけに、その一人一人の内なる思いが、より深く、熱く、ステージに届いていたような気がする。

演奏はどんどん激しさを増して、10分ほど前の穏やかな雰囲気とは一変して、会場は一気に熱を帯びていく。

元々短い曲だけど、ほんと一瞬の出来事のように感じたなぁ。

たしか、演奏の最後に大久保さんのドラムソロがあったんだよね。
時間はあまり長くなかったけど、なんだかとても懐かしかった。

そして、演奏への最高の賛辞である拍手と歓声が、次の曲のイントロへと溶け込んでいく・・・。

10.J.BOY

福田さんのアレンジによる「ON THE ROAD 2001」バージョン。
やっぱりサビ前のタメは、2拍じゃなきゃね!

先ほどこの曲に込められた真の意味を聞いた後だけに、とてもまっすぐなメッセージに感じられた。
どれだけ頭をひねって文章にしても、決してうまく伝えられない。
怒りというか、悲しみというか、なんなんだろう、あの気持ちは。
とてもたくさんの気持ちが込められた曲なんだね、この曲は。
あらためてそんなことを感じました。
とてもシンプルだけど・・・やっぱりうまく言葉にできないです。
一言で言うと、感動って言葉に収束してしまうのかもしれないけど・・・
うーん、やっぱりなんか違うなぁ。
単純で開放的なものではないし、自虐的で閉塞的なものでもない。
この曲に対する思いが・・・確実に変わりましたね。この夜から。

11.家路

「今夜はこのイベントに来てくれて、どうもありがとう。
 みんな一人一人が、ロード&スカイのメンバーです。いつも支えてくれて、励ましてくれて、ありがとう。
 今夜こうして集まってくれたみんな、一人一人が僕の誇りです。
 世界はまだまだ殺伐としていて、イラク戦争とか・・・明るい兆しはあまり見えないんだけど
 それでも明るく、元気に、頑張って生きていって欲しいと思います。
 またどこかの会場で、会えるのを楽しみにしています。今夜はどうもありがとう」

そんな感じのコメントから始まったこの曲。
この夜、一番グッときた曲でした。

「ON THE ROAD」「J.BOY」ときて、身体はすでに爆発的な沸点に達している。
たぶんこれが最後の曲だと思ったから、2曲で狂ったように盛り上がっていたんですね。
そして、この曲の美しいイントロ・・・。一気に涙があふれてきました。

イントロの時の省吾の姿がまた、とても印象的で。
ギター(ノーマルカラーのテレキャスター)を下げているんだけど、腕は胸の前で組んでいる感じ。
寒い寒い、と腕組みしているような姿と言うとわかりやすいかな。
その姿で、狭い会場の少ない客席を、端から端まで、隅から隅まで、くまなく目で追っていったのね。
たった20列しかない奥行きの、そのすべての人の顔を、きっと見ていたんだと思う。
(また、それができるぐらいの人数だったからね)
その時、テレキャスターのピックガード(ギターを弾くときに右手のあたりになる白いプラスチックの部分)に
照明がキラキラと反射して、すごく綺麗で。
まるで、今夜集まった全てのファンの熱い思いが光となって、ギターから輝きを放っているような・・・
文字にするとすごくキザだけど、この時は本当にそんなふうに思いました。
すごく、すごく綺麗で。それだけでもう、たまらず涙があふれてしまったんですよね。

小島さんのピアノのイントロにあわせて、そのままの姿勢で、客席の一人一人を見渡しながら、
♪青く沈んだ夕闇に・・・
と歌が始まって。まるで、一人一人に教え諭すかのような、すごく優しい歌い方でした。

浜田省吾という人は、ファンじゃない友達に言わせると「偽善者っぽいと思える」ほどいい人なんだよね。
これほど大物のアーティストになっても、一人一人のファンを大切にする姿勢を決して失わない。
やっぱり、人柄なのかなぁ。僕にしてみれば、そういうところがたまらなく魅力的なんだよね。
草の根というか、地方のファンも大事にしてくれるし。コンサートにも来てくれるし。
実際にそうやっている姿を知っているから、どんなコメントも本当の気持ちだって思えるんだよね。
一人一人が大切だって思ってくれるなんて、ファンとしてこんなに嬉しいことはないじゃないか。
だから彼のファンは、一度魅了されたらいつまでもずっとファンでいるんだろうね。
なんか、そんなことがふっと頭をよぎりました。
それくらい、この時の姿は優しかった。
今までに合計20回観たライブの中でも、かなり印象に残ったシーンでした。

イントロが終わり、バンドが加わってサウンドが厚みを増し、演奏が続く。
歌詞はやっぱり♪そして孤独なエゴは・・・と歌っていました。
CDでは「そして女たちは・・・」と歌っているところです。
「ON THE ROAD 2001」以降、この歌い方になっていますね。

僕は、ずっと泣きっぱなしでした。
涙がとめどなくあふれてくるから、それをぬぐうこともできず・・・
目をそらしてしまったら、なんだかもったいなくて。
一瞬たりとも、このステージから目を離したくなくて。
でも、コンサート中だから周りは気にならない。
みんな、ステージしか見てないからね。
泣いてる人も、きっと多かったと思うし・・・。

やっぱり「家路」はいいね。この曲だけは、ホント別格です。
聞くたびに泣いてしまうもんね。
前回のコンサート、2年前の広島の公演だけど。
あの時は、またちょっと違った思いがいろいろ交錯していたんだけど・・・
あれから2年経って僕の心の中もだいぶ変わったし。

純粋に、今この時を、過ぎ去りつつあるこの至福の時間を、いとおしく思う気持ちが強かった。

演奏が終わり、メンバーたちがバックステージに下がっていく。
当然、拍手がアンコールを求める歓声へと変わっていきます・・・。

第6章へ続く


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