文藝歴譜タイトル

道尾 秀介 (1975.5.19−)
みちお・しゅうすけ
1975(昭和50)年、東京都生まれ。玉川大学農学部卒。
道尾はペンネームで、都筑道夫に由来する。秀介は本名である。
2004年に『背の眼』で第5回ホラーサスペンス大賞特別賞を受賞しデビュー。
それまではサラリーマンとして勤務していたが、まもなく退職し専業作家となった。
2007年に『シャドウ』で第7回本格ミステリ大賞(小説部門)受賞。
2009年に『カラスの親指』で第140回直木賞候補、第62回日本推理作家協会賞(長編部門)受賞。
2010年に『月と蟹』で第144回直木賞を受賞。
候補5作目(5回連続候補は直木賞史上初)での悲願の受賞だった。

*読んだ著書*


ラットマン
(2008年刊/光文社)

ラットマン〔概要〕
結成14年のアマチュアロックバンドのギタリスト・姫川亮は、ある日、練習中のスタジオで不可解な事件に遭遇する。
次々に浮かび上がるバンドメンバーの隠された素顔。事件の真相が判明したとき、亮が秘めてきた過去の衝撃的記憶が
呼び覚まされる。本当の仲間とは、家族とは、愛とは…。

〔感想〕
すごく面白かったです。自分より年下の作家がこんなに面白いミステリー小説を書いていることに、軽いショックを受けてしまうほどでした。文庫本の解説で大沢在昌氏が書いているけど、世代の違いのギャップを感じますね。作家それぞれの年代層で、登場人物の描き方とか動きも違うし、背景や舞台の演出、伏線の使い方も違う。若い作家ならではのクール感の中にも、すごく強い芯を感じる文章に、すごく好感が持てました。最後まで、結末が二転三転する展開は、読めそうで読めない!

評価/★★★★★


ソロモンの犬
(2007年刊/文藝春秋)

〔概要〕
秋内、京也、ひろ子、智佳たち大学生4人の平凡な夏は、まだ幼い友・陽介の死で破られた。
飼い犬に引きずられての事故。だが、現場での友人の不可解な言動に疑問を感じた秋内は
動物生態学に詳しい間宮教授に相談に行く。そして予想不可能の結末が…。

〔感想〕
読み終わっての素直な感想は「あれ…?」って感じ。
前に読んだ『ラットマン』はすごく面白かっただけに、こんなもの?と感じました。
オチもわかるようなわからないような感じで弱く感じたし、主人公を中心とする未熟な恋のあれこれも、
読んでいて爽やかというよりなんだかまどろっこしく感じてしまいました。
間宮教授の存在もなんだかすごく浮いてるし、キャラ一人一人があまり立ってない気がしました。

評価/★★☆☆☆


カラスの親指
(2008年刊/講談社)

〔概要〕
詐欺を生業としている、したたかな中年二人組。ある日突然、彼らの生活に一人の少女が舞い込んだ。
やがて同居人はさらに増え、「他人同士」の奇妙な共同生活が始まった。
失くしてしまったものを取り戻すため、そして自らの過去と決別するため、彼らが企てた大計画とは!?

〔感想〕
なかなか面白かったです。なんだか不自然だけど、それでいて自然ですんなりと物語が進んでいって、そして「アルバトロス作戦」。
『オーシャンズイレブン』みたいなチームでの詐欺大作戦かと思いきや、最後に思いもよらないどんでん返しが…。
最後の展開は、正直ちょっと予想してなくて「やられた!」という感じでした。途中に伏線は幾つかあったのに、見逃してました。
終わってみれば、あまり毒のない「いい話」で。すべてがうまくまとまってスッキリ!しすぎて、そこが逆にちょっと気になって。
だけど、そんなふうにアレコレ考えられるのは面白い作品の証なのかもしれません。
2012年の秋に映画化されるようです。発表されているキャストは、まぁまぁ納得…かな。

評価/★★★☆☆


Story Seller annex
(2014年刊/新潮社)

〔概要〕
大好評アンソロジー「Story Seller」の姉妹編。
6人の超人気作家が豪華競演。オール読みきりで、読み応え抜群の作品を詰め込んだ。
あっと驚かされるミステリ、くすりと笑える話から、思わず涙がこぼれる恋愛小説まで。
物語の力にどっぷり惹き込まれる幸せな読書体験。

  1. 道尾秀介/暗がりの子供
  2. 近藤史恵/トゥラーダ
  3. 有川浩/R-18-二次元規制についてとある出版関係者たちとの雑談
  4. 米澤穂信/万灯
  5. 恩田陸/ジョン・ファウルズを探して
  6. 湊かなえ/約束

 1.道尾秀介/暗がりの子供
生まれつき左ひざが悪く、小学校にも馴染めない莉子は、ある日、『空とぶ宝物』という不思議な絵本と出会う。母親の愛に餓える莉子は、物語の主人公・真子と会話をするうち、次第に現実との境目を失っていくのだった…。

〔感想〕
短編だけど、なかなかスリリングなミステリでした。絵本とか童話とか、子供向けのものと思うと、意外に恐ろしいファンタジーが潜んでる場合があるよね。そういう虚構の可能性で、こんなお話も作れますよ、という試みが面白かったです。

評価/★★★☆☆


道尾秀介@あらびき双生児(公式ブログ)