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OUT
2002年/サスペンス

<監督>
平山秀幸
<原作>
桐野夏生
<脚本>
鄭義信
<出演>
香取雅子/原田美枝子
城之内邦子/室井滋
山本弥生/西田尚美
吾妻ヨシエ/倍賞美津子
十文字彬/香川照之
佐竹光義/間寛平
<ストーリー&コメント>
東京郊外の弁当工場で、深夜に働く四人の女たち。彼女たちは、それぞれに様々な問題を抱えていた。ある日、身重の弥生が家庭内暴力に耐えきれずに夫を絞殺してしまう。事件に巻き込まれてしまった雅子は、仲間のヨシエ、邦子を巻きこんで死体をバラバラに切断し、隠蔽工作を図る。しかし、平凡な主婦たちには完全犯罪など可能なはずもなく、やがて事件は明るみに出てしまう…。
かなり面白かった。テーマはドロドロしたものだけど、四人の女性たちのキャラクターがそれぞれにうまく配置されていて重苦しくなく観られた。しっかり者の雅子、ヨシエ。お調子者で気の弱い邦子、能天気で無責任な弥生。性格的に明暗が二人ずついることで、とてもいいバランスだったと思います。特に、室井滋演ずる邦子の明るさは雅子、ヨシエと対照的なので死体切断の場面などでもいいアクセントになっていた。
事件発覚から終盤への流れと、結末はちょっと物足りない気がしたけど、そこまでの緊迫感はとてもよかった。
原田美枝子さんは出演作を初めて観たけど、綺麗な女優さんですね。
119分/★★★★
(2003年9月8日)

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2002年/ドラマ

<監督>
篠原哲雄
<脚本>
大森寿美男
<原作>
柳美里
<出演>
柳美里/江角マキコ
東由多加/豊川悦司
鎌田/筧利夫
妹/麻生久美子
彼/寺脇康文
山室/平田満
母/樹木希林
<ストーリー&コメント>
妻子ある恋人の子供を宿したことを知った作家・柳美里は、出産の決断に悩み、かつて自分を見出した師であり、恋人でもあった劇作家・東由多加に相談を持ち掛ける。だが一方、東はすでに手の施しようもない肺ガンに冒され、余命幾ばくもない状態に陥っていた。お腹の子供を死に行く自分の生まれ変わりと感じた東は、柳の出産・育児に父親代わりとして協力することを約束。こうして二人の共同生活が始まった…。
芥川賞作家・柳美里が自らの体験を綴った私小説『命』、『魂』、『生』のシリーズを映画化。とても素晴らしい作品でした。個人的には柳さんの生き様には共感できませんが、この作品の中での彼女は生きることの「必然の力」を持っていると感じさせられました。
主演の二人はともに好演だけど、特に豊川悦司。この役に13キロもの減量で挑んだという鬼気迫る熱演がとても素晴らしかった。神社への宮参りのシーンは、かなり胸が熱くなりました。だけどその反面、このキャスティングはちょっと疑問。観ている間ずっと疑問に感じていたので、観終わった後に調べてみたんだけど、実際の柳美里と東由多加には23歳の年齢差がある。だけど主演の二人は、年齢あまり変わらないんじゃないかな。そこまでこだわる必要はないと思う場合もあるけど、この作品では「父と娘」または「師と弟子」であり、「恋人同士」でもある二人の関係は重要なポイントだけに、そのことが解消できない違和感として残ったのは残念。違和感といえば、樹木希林。あまりにも違う空気に辟易。
111分/★★★☆☆
(2003年9月25日)

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折り梅
2002年/ヒューマンドラマ

<監督・脚本>
松井久子
<原作>
小菅もと子
<脚本>
白鳥あかね
<出演>
菅野巴/原田美枝子
菅野政子/吉行和子
菅野裕三/トミーズ雅
中野先生/加藤登紀子
山際婦人/金井克子
夏子/乾貴美子
<ストーリー&コメント>
愛知県豊明市。パート勤めの主婦・巴は、夫と二人の子供と平凡な暮らしを送っていたが、夫の母・政子を引き取ってから生活が一変していく。元気だと思っていた政子が、初期のアルツハイマー病だと診断されたのだ。その対応に戸惑い、一家は家族崩壊の危機に直面してしまう…。
『アカシアの道』と同じく、痴呆にかかってしまった家族を抱えて家族が葛藤し、家族の絆が再生していく様を、実話を基に映画化。
主演の二人はともに好演だし、ドラマの内容もとても素晴らしいんだけど…家族の大根ぶりで水の泡。これが映画初出演の子供たちは仕方ないとしても、夫役のトミーズ雅は特にひどいね。愛知県という設定だからか、無理矢理変な標準語を喋ってるし、セリフも棒読み。彼だけはどうしてもミスキャストとしか思えない。残念。
朴とつとしたドラマなんだけど、とても考えさせられる内容でした。政子には四人の子供がいるんだけど、みんな厄介事には関わりたくないと知らん振り。面倒を見ようというのは血のつながらない嫁、唯一人。理解のない夫、反抗期の娘、ご近所の好奇の目、今にも押し潰れそうな圧力に、必死に頑張る巴。こういう時こそ、家族が力を合わせなければいけないんだと。高齢化社会は決して他人事じゃないし、いつかは自分もその立場になるかもしれない。そういう時は、決して目をそらさないでいたい。そういうことを真剣に考えさせくれる佳作でした。
111分/★★★☆☆
(2003年9月11日)

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害虫
2002年/ドラマ

<監督>
塩田明彦
<脚本>
清野弥生
<出演>
北サチ子/宮アあおい
緒方智/田辺誠一
タカオ/沢木哲
北稔子/りょう
徳川/天宮良
キュウゾウ/石川浩司
山岡夏子/蒼井優
<ストーリー&コメント>
母子家庭の中学一年生の少女・サチ子は、母の自殺未遂、小学校時代の担任との恋愛など複雑で混乱した現実に押し潰されそうな日々。学校に行かず、不良や浮浪者との関わりに束の間の安堵を得るが、そこも彼女の安住の地ではなかった。やがて、サチ子は再び学校へ行くようになり、順調な学校生活を取り戻したかに思えたが…。
思春期の少女の孤独や不安に揺れる複雑な内面をクールに描く。
主演の宮アあおいが『EUREKA/ユリイカ』に引き続き、寡黙な少女の心の内面を確かな演技力で好演。この作品では完全に彼女が主役。笑ったり怒ったり、彼女の様々な表情が観られるので「アイドルムービー」な側面もあるけど…可愛いからいいんじゃないでしょうか(笑)
全体を覆う暗い影とか、作品のテーマはなんとなく理解できたが、状況説明を排除した演出というのはどうにも好きになれない。そのせいもあって、サチ子の心情の流れが把握しきれず、サチ子の行動がとても唐突に思えてしまう。中盤はまだしも、終盤の展開はちょっと飛躍しすぎのような気が。何もかもを観ている側に委ねる作品というのは、ともすれば何も伝えられないという欠点も持ち合わせているのだということです。
92分/★★☆☆☆
(2003年10月8日)

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呪怨 (劇場版)
2002年/ホラー

<監督・脚本>
清水崇
<出演>
仁科理佳/奥菜恵
徳永仁美/伊東美咲
遠山いづみ/上原美佐
千春/市川由衣
徳永勝也/津田寛治
真理子/柴田かよこ
美雪/菊利友佳子
徳永和美/松田珠里
遠山雄治/田中要次
警備員/森下能幸
福祉センター事務員/榊英雄
佐伯剛雄/松山鷹志
佐伯俊雄/尾関優哉
佐伯伽椰子/藤貴子
広橋/石倉力
徳永幸枝/磯村千花子
<ストーリー&コメント>
老人介護のボランティアをする女子大生の理佳は、寝たきりの老女・幸枝の様子を見るため、徳永家を訪ねた。すると幸枝は何かに怯え、いるはずの息子夫婦の姿も見えない。人の気配を感じた理佳は2階へ上がるが、そこには誰もおらず、押し入れがガムテープで厳重に封印されていた。恐る恐るテープをはがした彼女がそこに見たものは…。
ビデオでリリースされ、カルト的な人気を呼んだ『呪怨』を、同じ清水崇監督で劇場版にリメイク。かつて陰惨な殺人事件が起きた一軒家を舞台に、呪いが呪いを呼ぶ惨劇の連鎖を描く。
リメイクのような続編のような、どっちつかずな感じでした。「呪いの家」の存在、エピソードごとに主人公が変わる短編連作形式、時系列が一致していないといった構成は同じだけど、登場人物はそれぞれ新しく設定されている。だけど、伽椰子の呪いはビデオ版のあらましを知っていないと理解しきれない部分があると思いました。それなりに「おいしいとこどり」な感じ。
『リング』に続き、サム・ライミによってハリウッド・リメイクされました。タイトルは『THE JUON/呪怨』
ビデオ版二作を観ている人間にとっては、ちょっと面白いシーンがいくつかありました。
(以下、ネタバレ文。観た後で、マウスでなぞってお読みください)
家の構造(特に階段と2階)はそっくりだし、真理子が家庭教師として“家”を訪れるシーンは小林と同じ構図だし。家庭教師が屋根裏に引きずり込まれるのも懐かしかったですね。ちなみに、伽椰子はビデオ版の方が遥かにズリズリしている感じが怖くて気持ち悪かったです。
92分/★★★☆☆
(2004年4月4日)

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たそがれ清兵衛
2002年/時代劇

<監督・脚本>
山田洋次
<原作>
藤沢周平
<脚本>
朝間義隆
<出演>
井口清兵衛/真田広之
飯沼朋江/宮沢りえ
余吾善右衛門/田中泯
久坂長兵衛/小林稔侍
甲田豊太郎/大杉漣
井口藤左衛門/丹波哲郎
飯沼倫之丞/吹越満
<ストーリー&コメント>
幕末の庄内海坂藩。平侍の井口清兵衛は妻を亡くし、二人の娘と老母のために黄昏どきになると家路を急ぐ毎日。そんな冴えない日々が、剣術の腕が噂になったことで一変。上意討ちの討手として清兵衛が選ばれてしまったのだ。藩命に逆らえない清兵衛は、切腹を不服とする余吾善右衛門が立てこもる屋敷へと向かった…。
時代劇小説の第一人者・藤沢周平の三作の小説を基に、山田洋次監督が映画化。2002年度の日本の映画賞を総ナメにした時代劇。幕末に生きた名もない下級武士とその家族の姿を、徹底したリアリズムの中に叙情溢れるタッチで描く。
話題の作品なのでそれなりに期待も大きかったが、正直ボチボチかなという感じ。全体的なリアリティみたいなものと、主演の真田広之の演技はよかったけど、物語の展開にちょっと納得のできない点もあった。
ひとつ挙げれば、清兵衛は武術道場の師範代になるほどの腕を持ちながら、なぜ兵糧倉庫の小役人に甘んじているのだろうか?その腕をもう少し有効に活かせれば貧しい暮らしで妻を失うこともなかったのではないだろうか。出世欲がないとか、剣の道を厭う気持ちがあるのだとしたら、そういうきっかけのエピソードは必要だと思う。
あと、最後の「その後」みたいなエピソードはあまり必要性を感じないし、懐古的なナレーションもちょっとどうかと思った。陰りの見えた武士社会、困窮した実生活の中で葛藤する下級武士というテーマだけでも面白いし、清兵衛の生きた姿だけを中心に据えても、作品を構成するには充分な魅力はあると思うのだが。ちょっと説明過多な印象。
良作とは思うが、個人的には傑作とはちょっと呼べないでがんす。
友達と一緒にビデオで観たんだけど、途中で寝てるし…。寝るなよ。それも、素直に楽しめなかった理由のひとつかな。やっぱり映画って一人で観た方が集中できていいのかも。
2003年度アカデミー外国語映画賞ノミネート作品。
129分/★★★☆☆
(2003年12月20日)

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突入せよ!「あさま山荘」事件 〜THE CHOICE OF HERCULES〜
2002年/社会派ドラマ

<監督・脚本>
原田眞人
<原作>
佐々淳行
<出演>
佐々淳行/役所広司
宇田川信一/宇崎竜童
佐々幸子/天海祐希
後藤田警察庁長官/藤田まこと
間野長野県警本部長/伊武雅刀
丸山参事官/串田和美
白竜組社長/椎名桔平
石川警視正/山路和弘
<ストーリー&コメント>
1972年2月19日。連合赤軍の一派が「あさま山荘」に侵入、管理人夫婦の妻を人質にして立てこもった。警察庁の警備局長付監察官・佐々は、後藤田警察庁長官の命により現地の指揮を執ることになるが、警察庁の介入を快く思わない長野県警対策本部の面々から猛烈な反発を受ける。両陣営はまったく歩み寄りを見せずに事件は硬直していく…。
8時間半に渡るTV中継の視聴率が89.7%にも達するなど、国民を釘付けにした「あさま山荘事件」。実際の事件時に警察の指揮を執った佐々淳行の回顧録を基に、警察からの視点で事件を描く。
僕は当時まだ生まれていなかったし、この事件の背景や、連合赤軍についてほとんど知らない。そういう年代層にもわかりやすいように、当時の情景を少しだけでもいいから織り込んでほしかった。そうすればもっと理解が深まっただろうと思う。登場人物もたくさんいることだし。
作品の中身については、評価は半々といったところ。突入の場面はなかなか面白かった。指揮系統が乱れ、描いた作戦が崩れていく様は圧巻。ただ、そこに至るまでのドラマがやや退屈だった。中央から派遣された部隊と、地元県警の対立、上層部内部の面子争いなどの部分ばかりがクローズアップされていることと、山荘内部に立て篭もっている敵の存在感があまりに希薄なため、対立の構図がすりかわってしまっている。劇中のセリフにもあるけど「敵は連合赤軍ではない」んだよね。
重大事件に対峙した際の警察内部の軋轢、「お役所仕事」な実情、それを描いた作品に思えました。
134分/★★★☆☆
(2003年6月12日)

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仄暗い水の底から
2002年/ホラー

<監督>
中田秀夫
<原作>
鈴木光司
<脚本>
中村義洋
鈴木謙一
<出演>
松原淑美/黒木瞳
松原郁子/菅野莉央
河合美津子/小口美澪
浜田邦夫/小日向文世
浜田郁子/水川あさみ
太田/徳井優
岸田/小木茂光
神谷/谷津勲
<ストーリー&コメント>
離婚した夫と5歳の娘の親権を争っている淑美は、母娘で新居へと引っ越した。だがその建物は老朽化していて、淑美は不可解な足音や天井からの水漏れに悩まされる。そんなある日、淑美は、娘が通う幼稚園で2年前に女の子が行方不明になっていることを知る。その子が住んでいたのは、まさに淑美の真上の部屋だった…。
『リング』シリーズを生みだした、鈴木光司と中田秀夫のコンビによる新たなホラー。原作は短編『浮遊する水』。
かなり怖かった。タイトル通り水が重要なファクターとなる本作は、じっとりと体にまつわりつくような湿った恐怖が味わえるウエット・ホラーに仕上がっています。過大な宣伝によって、なんとなく展開が見えていた『リング』に比べて、全く結末を知らずに観たのもよかったかもしれない。というか、それは映画や小説を楽しむ最低限の条件だよね。日本のメディアは、予告編とかで露出をしすぎると思う。テレビのCMでも、上映中の映画のラストシーンを流してたりするしね。封切り日を過ぎてしまえば、「もうみんな観てるもの」として扱われるのかな。話がそれたけど、そんな構え方で観たので怖かったし、終盤まではかなり面白かった。ただ、最後の結末とエピローグは納得がいかなかったなぁ。
本作の舞台は、ほとんどが老朽化した住宅。登場人物も少ないので、じっくりと腰を据えて忍び寄る恐怖と対峙することができます。どしゃ降りの雨、ぬかるんだ泥道なども、水による切迫感をかきたてて効果あり。主演の母娘、黒木瞳と菅野莉央はともに素晴らしい熱演。
『リング』に続き、本作もハリウッド・リメイクが企画されているそうです。
101分/★★★☆☆
(2004年3月25日)

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壬生義士伝
2002年/時代劇

<監督>
滝田洋二郎
<原作>
浅田次郎
<脚本>
中島丈博
<出演>
吉村貫一郎/中井貴一
斎藤一/佐藤浩市
大野次郎右衛門/三宅裕司
しづ/夏川結衣
ぬい/中谷美紀
大野千秋/村田雄浩
近藤勇/塩見三省
沖田総司/堺雅人
土方歳三/野村祐人
<ストーリー&コメント>
幕末の京都・壬生。尊皇攘夷の名の下に結成された新撰組は、表向きこそ勢いを見せるが、力を増す倒幕勢力の前に浮き足立ち士気は低下の一方だった。そんなある日、一人の剣士が入隊してくる。盛岡の南部藩出身、吉村貫一郎。みすぼらしい身なりながらも、剣の腕は凄腕だった。しかし、あまりにも侍らしからぬ吉村の振る舞いに、近藤勇も一目置く斎藤一は嫌悪を感じるのだったが…。
浅田次郎の同名ベストセラー小説を映画化。混迷する幕末を舞台に、愛する者のために生き抜いた一人の男の波瀾の運命を描く。
すごく面白かったです。同時期の作品で、何かと比較される『たそがれ清兵衛』よりこちらの方が個人的には好き。こちらの方は舞台が藩内だけでなく幕末全体なので話の規模も大きく、その分ドラマも大きなうねりを見せる。主人公の吉村寛一郎は、南部森岡出身の平隊士として新選組の名簿にも載っている実在の人物。だが、詳細な記録は一切なく、その実像については謎に包まれているらしい。
主演の二人、中井貴一と佐藤浩市(若い時)がとにかくよかった。冒頭の申し合い、雨中の決闘で一気に物語に引き込まれました。この二人、デビュー時期も年齢もほぼ同じらしい。中井貴一は家族愛に生きる朴訥な侍を好演していたし、佐藤浩市の無骨な武士像もカッコよかった。どちらも、それぞれの味わいを存分に出していたと思う。ただ、老年の斎藤の姿は如何なものか。孫がいるにしては年齢が若い気もするし、村田雄浩との兼ね合いも食い違っている気がする。ここはひとつ、三國連太郎を起用しても面白かったと思う。
ほぼ満足な作品だけど、二つだけ苦言。最後の中井貴一の独白シーンはちょっと長すぎる気がしたし、エピローグ的な最後の息子たちの姿は必要なかったと思う。主演二人の魅力でグイグイ引っ張っただけに、最後が若手の独壇場では収まりが悪い。
137分/★★★★
(2004年1月24日)

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黄泉がえり
2002年/ファンタジー

<監督・脚本>
塩田明彦
<脚本>
犬童一心
斉藤ひろし
<出演>
川田平太/草g剛
橘葵/竹内結子
玲子/石田ゆり子
周平/哀川翔
中島英也/山本圭壱
齊藤医師/田中邦衛
齊藤園子/忍足亜希子
齊藤幸子/伊東美咲
<ストーリー&コメント>
九州・阿蘇のとある町で、死んだはずの人間が突然帰ってくるという怪現象が発生する。しかも、死後10数年を経ても、死んだその時の姿のまま戻ってくるというのだ。事件の謎を探るため、自身の故郷でもあるその町を訪れた厚生労働省の川田は、“黄泉がえり”現象が町一帯で次々と起きている事実を知り、調査を開始するのだが…。
梶尾真治の原作を、『害虫』の塩田監督、人気俳優の共演で映画化したファンタジー。柴咲コウの歌う主題歌と共に大ヒットを記録した。
それなりに面白かった。結果を言ってしまうと、現象の原因は結局謎のまま。でも、それはそれで許せる気もする。作品の焦点は、その奇怪な現象によって懐かしい人々との再会を果たした人々を描く群像劇になっているからだ。逆に言うと、あまり学術的な説明が加わらない方がミステリーに浸れる効果がある。本作において、その「怪現象」と「理屈」はほどよいバランスを保っていたと思う。
ただ、肝心の群像劇の方に問題がある。それぞれに主演を張れるような豪華な脇役陣のせいで、それぞれのエピソードが逆に薄く感じてしまうからだ。軸となる主人公たちの物語、ラーメン店夫婦と店員の兄弟、医師親子、老婆と少年、自殺した中学生…。もう少しエピソードをしぼって、物語の流れにもっとテンポを持たせたほうがよかったと思う。
主役の二人はイマイチ。草g剛はまぁまぁだけど、竹内結子は…。元彼の女友達にまで詰め寄ったのに、最後の展開はないよ。まぁ、予想できたことだけど。そういう展開に持って行くなら、女友達のシーンは必要ないと思う。海辺の回想シーンはよかっただけに、ちょっと残念。
あと、最後のライブのシーン。ここが一番つっこみたいところが多いんだけど…あえて一言だけ言えば、3曲はちょっと多い。ライブ自体が唐突で作品上あまり意味はなかったし、もっと他の形でもドラマチックに演出できたんじゃないかなぁ。主題歌は好きだけど。
126分/★★★☆☆
(2003年12月27日)

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竜馬の妻とその夫と愛人
2002年/コメディ

<監督>
市川準
<脚本>
三谷幸喜
<出演>
西村松兵衛/木梨憲武
菅野覚兵衛/中井貴一
おりょう/鈴木京香
虎蔵/江口洋介
勝海舟/橋爪功
坂本竜馬/トータス松本
きみえ/小林聡美
<ストーリー&コメント>
明治新政府の役人・菅野覚兵衛は、幕末に暗殺された坂本竜馬の十三回忌を催すべく、その妻だったおりょうを訪ね歩く。だが、驚いたことに彼女は、冴えないテキ屋の男・西村松兵衛と再婚してボロ長屋で暮らしていたうえ、竜馬によく似た虎蔵と愛人関係に陥っていた。亡き竜馬の名を汚さぬよう、覚兵衛は懸命に彼女の後を追うのだが…。
坂本竜馬の幻影に取り憑かれた男女4人が繰り広げる珍騒動を愉快に綴った、三谷幸喜原作の同名舞台劇の映画版。
なかなか面白かった。最初こそ、明治を舞台にしながらも明治らしくない暮らしぶりや身分意識、言葉遣いに混乱したけど、そこまで厳密に考える必要のないコメディだったんだね。
この作品は、前半と後半で大きく分かれます。前半は登場人物の人柄と背景の紹介を丁寧に写実的に描き、4人の会談する中盤以降は作風が一変。スピード感のある会話の応酬と脇をくすぐる笑いで、まさに三谷コメディワールド。役者もみんな好演だったけど、木梨憲武が特によかった。全然時代劇っぽくないんだけど、独特の生活臭あふれる芸風がピタリとはまっていたと思う。最後の、おりょうの背中に語りかけるセリフもグッときた。「坂本竜馬はなぜ殺されたか」など、ファンの心をくすぐるネタにもふれていてポイントアップ。この疑問への大胆な新説(?)には思わず笑ってしまいました。
115分/★★★☆☆
(2003年12月15日)