ベースボールに最も愛された男
ベーブ・ルース〜『ザ・ベーブ』

多くの野球ファンに愛されたベーブ・ルースは、ホームランを量産する打撃スタイルでそれまでの野球観を大きく変えてしまった。彼が活躍し始めた頃、メジャーリーグにはアメリカ全土を震撼させた八百長事件があったばかり。そこに現れたまさに彼の存在は球界の救世主といってもいいものであり、その功績ははかりしれない。死後半世紀以上経った今でも、彼の名はメジャーリーグ史に輝きを放っている。

『夢を生きた男/ザ・ベーブ』(1991年アメリカ/伝記ドラマ)

<監督>アーサー・ヒラー
<脚本>ジョン・フスコ
<出演>ジョン・グッドマン、ケリー・マクギリス

ベーブ・ルースの生い立ち
1895年2月6日、メリーランド州ボルチモアで酒場を経営する父と病気がちな母の間に生まれた。身体が大きく、手のつけられない悪ガキぶりで、セントメリー少年矯正院に入れられる。ここでマサイアス修道士と出会い、本格的に野球を教わることとなる。

スカウトされプロ野球界入り
1913年、インターナショナルリーグのボルチモア・オリオールズとプロ契約。1914年にはメジャーリーグの名門レッドソックスと正式契約。1915年からメジャーに定着し、投手として18勝をマークするなど打撃の良い左投手という評価を手にした。以降も投手、打撃の両面でチームの優勝に貢献。1918年にはレッドソックスのワールドチャンピオンに大きく貢献した(これ以降レッドソックスは2004年まで86年間の長きにわたって世界一になれず、「バンビーノの呪い」といわれた)。
1918年頃から野手として打撃に専念した彼は、1919年にはシーズン29本塁打という当時としては驚異的な記録を作り、2年連続で本塁打王を獲得した。しかしチームは低迷し、1920年に破格の契約金で彼はヤンキースへ売られてしまう。この移籍により、彼を獲得したヤンキースが黄金時代を築き始め、レッドソックスは長い冬の時代に突入することになる。

ヤンキースの黄金時代
ヤンキースに移籍した彼は野手に専念、その打棒は一層輝きを増し、1920年には54本塁打を記録。この活躍が、それまで野球に興味を持たなかった人たちを球場に呼び、大衆スポーツとしてプロ野球が認められていく大きな分岐点となっていく。1921年にも桁違いの打棒でヤンキースのリーグ初優勝に貢献。1923年には本拠地ヤンキースタジアムが誕生、「ルースの建てた家」と呼ばれた。同年、ヤンキースはワールドシリーズで初めてジャイアンツを破り、球団史上初の世界一の座を手にした。その後も彼の打棒は奮い続け、ヤンキースに在籍した1934年までの15年間で7度のリーグ優勝、4度の世界一をもたらした。特に、1932年のカブスとのワールドシリーズで予告ホームランを放ったことは、今でも語り草になっている。

ベーブ・ルース豪快なホームランを量産したベーブ・ルース

栄光の後に
大統領より多い年俸を手にし、欲しいものはほとんどを手に入れた彼だが、たったひとつの夢は監督になることだった。だがヤンキースのオーナーは彼の気性に問題ありとして認めず契約は破棄、1935年に、いずれは監督へという約束でブレーブスに移籍。だがその夢は叶えられず、この年限りで現役を終えることとなった。現役引退後の1937年にはドジャースのコーチになって監督を目指したが、これも実らなかった。

大いなる偉業
22年間のメジャー生活で、通算714本塁打、シーズン60本塁打など数々の記録を樹立したルース。後にその記録は破られることになるが、彼の登場以前はホームランそのものの評価は高くなく、まさに彼こそが新しい野球の価値観を植え付けたと言ってもいいだろう。

金に無頓着、大食漢で大酒飲みと欠点だらけのルースだったが、それゆえに多くの人々から愛された。生き方そのものがアメリカンドリームの体現者として、また、スポーツの枠を越えたスターとして多くの人気を集めているのは今も昔も変わらない。晩年は喉頭ガンにおかされ、53歳の若さで他界した。

ベーブ・ルースベーブ・ルース
(George Herman 'Babe' Ruth)
左投左打・投手、一塁手、外野手(1914〜1935)
通算成績
シーズン最多本塁打記録:60本(1927)
通算本塁打:714本
主要タイトル
シーズンMVP:1回(1923)
最優秀防御率:1回
首位打者:1回
本塁打王:12回
打点王:6回

通算打撃成績
チーム 試合 打数 安打 HR 打点 打率
1914 Boston Red Sox 5 10 2 0 2 .200
1915 Boston Red Sox 42 92 29 4 21 .315
1916 Boston Red Sox 67 136 37 3 15 .272
1917 Boston Red Sox 52 123 40 2 12 .325
1918 Boston Red Sox 95 317 95 11 66 .300
1919 Boston Red Sox 130 432 139 29 114 .322
1920 New York Yankees 142 458 172 54 137 .376
1921 New York Yankees 152 540 204 59 171 .378
1922 New York Yankees 110 406 128 35 99 .315
1923 New York Yankees 152 522 205 41 131 .393
1924 New York Yankees 153 529 200 46 121 .378
1925 New York Yankees 98 359 104 25 66 .290
1926 New York Yankees 152 495 184 47 146 .372
1927 New York Yankees 151 540 192 60 164 .356
1928 New York Yankees 154 536 173 54 142 .323
1929 New York Yankees 135 499 172 46 154 .345
1930 New York Yankees 145 518 186 49 153 .359
1931 New York Yankees 145 534 199 46 163 .373
1932 New York Yankees 133 457 156 41 137 .341
1933 New York Yankees 137 459 138 34 103 .301
1934 New York Yankees 125 365 105 22 84 .288
1935 Boston Braves 28 72 13 6 12 .181
Total 22 years 2503 8399 2873 714 2213 .342

通算投手成績
チーム 試合 先発 完投 投球回 三振 防御率
1914 Boston Red Sox 4 3 1 2 1 0 23.0 3 3.91
1915 Boston Red Sox 32 28 16 18 8 0 217.2 112 2.44
1916 Boston Red Sox 44 41 23 23 12 1 323.2 170 1.75
1917 Boston Red Sox 41 38 35 24 13 2 326. 128 2.01
1918 Boston Red Sox 20 19 18 13 7 0 166.1 40 2.22
1919 Boston Red Sox 17 15 12 9 5 1 133.1 30 2.97
1920 New York Yankees 1 1 0 1 0 0 4.0 0 4.50
1921 New York Yankees 2 1 0 2 0 0 9.0 2 9.00
1930 New York Yankees 1 1 1 1 0 0 9.0 3 3.00
1933 New York Yankees 1 1 1 1 0 0 9.0 0 5.00
Total 22 years 163 148 107 94 46 4 1221.1 488 2.28

関連リンク
BabeRuth.com
Major League Baseball The Official Site
2003/11/22