親不知(1998.4.20)
今日も天気がよかった。そこで今日は久々にドライブをしてみた。
相棒サニー号は東へと向かう。
富山県を東西に横断する代表的国道、国道8号線。
大阪から新潟までを結ぶ交通の要衝、古くは北陸道(ほくろくどう)と呼ばれていた道だ。
平日の昼間だが、混んでいる。日本海側の東西の物流ルートでもあるからだ。
昔つくった浜田省吾のベストテープ(日付は1992年!)を久々に聞いてみた。
曲はほとんど『Edge of the knife』からのもので、バラードが多かった。
省吾を聞き始めたきっかけが「そのバラードの素晴らしさ」からという人は多いのではないだろうか。
富山県の県境を越えて、新潟県へ。
左手に見える海は穏やかな水面を見せていた。
目的地の親不知に着いた。岸辺の「道の駅」にクルマを停める。
頭上には高速道路の高架が走っている。ここは、日本で唯一高速道路が海上を通っているところだ。
通るというより、道が海にはみ出ているといった方が正しいかもしれないが。
クルマを降りて、海岸の方へ行ってみた。海にのぞむ岸壁。海面までは約3m。
そのコンクリートの浜にしばらく腰をおろして海をながめた。
海面はぬめった絹の布のようで、波もほとんどなくおだやかだった。白い海。
風はかすかに潮の香りを運んでくるが、すこし生暖かかった。
つまらない海だった。
普段海を訪れた時のような躍動感を味わえない。
周囲を見渡すと、何人かの人が釣り糸を垂れている。
こんなところで…と思い眼下の海面をよく見下ろすと、たしかに細かい魚が群れていた。
少女が犬と歩いていた。
大きな犬で、茶色と白の毛色がなかなかきれいだった。
ふと、近年日本海を騒然とさせた重油流出事故のことを思い出した。
当然のように浜田省吾の名曲「僕と彼女と週末に」が頭をよぎった。
いたたまれなくなってそこを後にした。
久しぶりに、重い海を見た。様々な顔を持つ自然。果てなき水平線。
ふと気づくと、空にはいつのまにか雲が満ちていた。