.

ROOM 13
Chambre N.13
1999年フランス/全13話 「ホテルの13号室にいる一組の男女。そのどちらかに死が訪れる」という簡略なプロットのもとに、次代のフランス映画界を担う無名の新鋭監督たちがそれぞれ独自のアイデアを競い合う。多数監督によるゲーム感覚溢れるオムニバス・ムービー。

#1 老女の晩餐/サスペンス

<監督>
アルナ・ヴィリエ
ファビエンヌ・ベルトー
<脚本>
クリストフ・カルモナ
ブリュノ・バケシ
<出演>
エリザベート・カザ
スタニスラス・メーラー
ポーリーナ・バカロヴァ
<ストーリー&コメント>
1973年2月3日。ホテルの13号室に宿泊する老女のもとへ、まだ若くてハンサムなボーイが夕食を運んでくる。老女が隣室で身繕いをしている隙に、ボーイは鏡台の前に置いてあった彼女の宝石箱から宝石を盗み出そうとするのだが、老女はそれに気づいていた…。
第1話だけに、かなり期待が大きかったが…。不気味な雰囲気、水道の蛇口からほとばしる真っ赤な鮮血など、スリルのあるシーンもあるが、やはり6分程度の尺では深みが感じられないのも事実。それなりにストーリーにはなってるけど、「所詮は小話程度かな」と思ってしまう。
このシリーズをあと12話続けて見るのか…。最初からいきなり不安。
それりにしても、スタッフロールが異様に長い。たった6分の映画でも、あんなにたくさんの人間が関わってるものなんだろうか?100人ぐらい名前が出ていた気がするけど。
6分/★★☆☆☆
(2003年5月23日)

#2 非情のダイス/ミステリー

<監督>
パスカル・サンジュヴァン
<脚本>
ダヴィド・アロー
<出演>
フロランス・ボリュフェール
セドリック・トゥー
<ストーリー&コメント>
1999年12月31日。ホテルの13号室でダイス・ゲームに打ち込む一組の男女。ゲームに負けるたび、罰として男は女から体の一部をバットで強打され、苦痛にのたうち回る。女はそんな彼を冷ややかに見据えながら、さらにダイスを転がすのだった…。
うわ…第2話でもう来たか…。予想より遥かに早すぎる。
全く意味不明の映像。組みたて式の金属バットをお互いに組みたてながら、交互にダイス(サイコロ)をふる。たぶん、「大きい数字を出したほうが勝ち」なんだろうと思う。だが、体罰が始まるのは途中から。序盤のは練習なのか?勝ち負けのルールもハッキリわからないし、二人が何の為にここに来て、このゲームをしているのかが全く不明。観終わった後、誰もが「は…?」と呆気にとられてしまうだろう。
スタッフロールは相変わらず無意味に長い。
6分/☆☆☆☆
(2003年5月23日)

#3 バスルームの真相/サスペンス

<監督>
ディディエ・ドゥレトル
<脚本>
フレデリック・ミショー
<出演>
イザベル・ディネッリ
ジャン=マリー・ラムール
クレマンティーヌ・レジェ
<ストーリー&コメント>
1952年5月18日。ホテルの13号室にやってきたメイドは、散らかった室内の清掃作業に取りかかろうとした。彼女が浴室に足を踏み入れると、真っ赤な血で埋まったバスタブには女性の全裸死体があった。驚く彼女の耳に、誰かが部屋に入ってくる足音が聞こえてきた…。
これまでの中では一番面白かった。ラストは読めてしまった通りのオチだったんだけど、そこに辿りつくまでの緊迫感はなかなかのものだったし、俳優もなかなかいい演技をしていたと思う。短い時間を感じさせないコンパクトな作りに好感が持てた。
ただ、発砲は痕跡が残ってしまうのでまずかったと思うのだが。
この作品群が若い製作者の登竜門だとすれば、前2作よりはこの作品の監督の方が僕の好みなのかもしれない。
7分/★★★☆☆
(2003年5月23日)

#4 毒の応酬/サスペンス

<監督>
ミカエル・スエテ
<脚本>
フレデリック・ジョルフレ
<出演>
ジュヌヴィエーヴ・カシル
ステファーヌ・メジェ
<ストーリー&コメント>
1938年11月3日。マスコミ嫌いの女流作家が、常日頃、彼女のことを酷評しているジャーナリストの取材の求めに応じ、彼をホテルの13号室に迎え入れる。男は彼女の秘密を握っているとして恐喝しようとするが、お互いに毒を盛って心理戦を展開する…。
前話ほどではないけど、それなりに面白かった。ただ、最後が読めてしまうのは短時間ゆえに仕方のないところかな。
アイデアとしては、小道具の煙草の使い方が面白かったかもしれない。
6分/★★★☆☆
(2003年6月1日)

#5 花嫁の過ち/コメディ

<監督>
ニコラ・キュシェ
<脚本>
ジャン=アルマン・ブグレイエ
<出演>
エリゼ・ティエルロワ
アラン・ブジグ
<ストーリー&コメント>
1999年7月27日。朝、若い女性がふとホテルのベッドで目を覚ますと、そこには見知らぬ男がいた。彼女は独身最後の夜にハメを外しすぎ、すっかり飲み過ぎてしまい、その後のことは何にも覚えていなかったのだった。そんな彼女をよそに、馴れ馴れしい男に次第に腹が立ってきた彼女は、衝動的に相手を殴り殺してしまう…。
最後の展開がちょっと読めてしまった。悪ふざけもほどほどに、というコメディかな。
6分/★★★☆☆
(2003年6月16日)

#6 裏切りの引鉄/サスペンス

<監督>
フィリップ・モンポンテ
<脚本>
クリスチャン・ブラジエ
<出演>
クリストフ・ロビオン
イングリッド・ショーヴァン
<ストーリー&コメント>
1953年7月18日。ある男が悪夢から目覚めてソファーから身を起こすと、女が彼に銃口を向け、別れを告げて引鉄をひくのだった。…と思うと、そこで男は再び悪夢から目を覚ます。だがそこでは、同じ情景がまた繰り返されるのだった。男は終わりのない連鎖からなんとかして逃れようとするのだが…。
らせん階段のように終わりのない悪夢の連鎖に狂わせられる男の物語。…よく言えば、そういうこと。悪く言えば、ただそれだけ。なぜ続くのか、それは全くわからない。ひとつのアイデアではあるが、たった5分間の展開では別に何も産み出さない。
5分/★★☆☆☆
(2003年6月21日)

#7 三度目の正直/サスペンス

<監督>
ラルス・ブリュメール
<脚本>
ステファーヌ・ブルシエ
<出演>
ルシア・サンチェス
パスカル・トマゾ
<ストーリー&コメント>
1963年9月27日。ホテルの13号室に入ってきた男女。実は女は死神で、男に死の宣告をしに来たのだった。決まり通りの仕事に飽きた死神は、カードでゲームをして、3回続けて勝てば死期を延ばしてやると提案する。男は死にたくないと、果敢に勝負を受けて立つのだが…。
男と女の命を賭けたゲームといえば、第2話「非情のダイス」と図式は同じ。ただ、ゲームの内容、目的ともにわかりやすいのでこちらの方が理解しやすい。だからといって、傑作だということにはならないのだが。
最後のオチがちょっと弱いかな。
7分/★★★☆☆
(2003年6月27日)

#8 呪いの初夜/ミステリー

<監督>
O・A・ダアン
<脚本>
ロラン・メトリ
<出演>
フレデリック・ディーファンタル
クレール・カイム
<ストーリー&コメント>
1939年。結婚したばかりの男女が、ホテルの13号室で情熱的に抱き合っていた。男は、壁にかけられた不気味な絵が気にかかったが、お互いを求め合う二人の前には些細な問題に過ぎなかった。だが、悪夢にうなされて目が覚めると、そこには夢以上に凄惨な光景があった…。
覚めたはずの悪夢に、さらなる悪夢がたたみかけるというストーリーの構成自体は、第6話「裏切りの引鉄」と同じ。だが、こちらの方が背景がわかりにくく、ストーリーにひねりがないので理解しきれなかった。一番の謎は、最後の「1945年」。
出演は『タクシー』シリーズでお馴染みのフレデリック・ディーファンタル。
7分/☆☆☆☆
(2003年7月5日)

#9 狂気のゲーマー/サスペンス

<監督>
フレデリック・フォレスティエ
<脚本>
ミシェル・スエテ
<出演>
アクセル・シャルヴォズ
ステファーヌ・ガトー
<ストーリー&コメント>
1999年9月9日。爆弾魔が人質を取って13号室に閉じ籠もっているとの通報を受け、1人の刑事が相手を説得しようと、単身で部屋の中に踏み込む。その彼の目にとび込んできたのは、短髪をオレンジ色に染めた若い女の姿。刑事はてっきり彼女を人質に取られた被害者と思い込むが、実は彼女こそが今回の事件の犯人だった。ゲーム感覚の彼女は、刑事を手玉に取って翻弄するのだが…。
第3話「バスルームの真相」をしのぎ、このシリーズで一番面白い作品だった。といっても、かなり低レベルでの争いだけど。余計な説明もなく物語は唐突に始まるけど、状況はすぐに飲みこめるし、他の作品に比べて登場人物の設定が把握しやすく、物語にも動きと説得力があるので面白かった。
7分/★★★☆☆
(2003年7月12日)

#10 嫉みの贈物/サスペンス

<監督>
ミリアム・ドナシス
<脚本>
エリック・フェンドレール
<出演>
ジュリエット・アンドレア
シルヴァン・ジャック
ロラン・グレヴィル
<ストーリー&コメント>
1999年夏。ホテルの13号室で、人妻の女と若い男が逢瀬をかさねていた。そこへ何者かから花束とシャンパンが届く。早速2人がシャンパンをあけたところで、電話が鳴る。受話器をとった男に対し、声は女の亭主であると名乗り、「今お前たちが飲んだシャンパンは毒入りだ。解毒剤を用意しておいたが、それは1人分しかない…」と告げるのだった…。
今回は、嫉妬に狂う女の亭主から危険な贈り物が届くという物語。先の展開が激しく読めてしまったので、ちょっとガッカリ。最後にもうひとつどんでん返しがあったりすると、もっと面白いと思うのだが…。
冒頭の展開は、いかにもフランスならぬ「仏蘭西映画」という感じ。
6分/★★★☆☆
(2003年7月19日)

#11 偶像の願い/サスペンス

<監督>
エリック・ヴァレット
<脚本>
ヴァレリー・ロマノフ
<出演>
ジェラルド・ラロシュ
ステファーヌ・ブラウンシュヴェイグ
<ストーリー&コメント>
1957年9月25日。ホテルの13号室で、一人の男が不思議な土偶の置物を見つめていた。そこへ、若い女が部屋に入ってくる。女は部屋を間違えたかと思うのだが、男は間違ってはいないという。さらに、女に対してピストルをかざし、「俺を殺してくれ」と命令する…。
今回は、呪われたホテルの13号室に閉じ込められた人々の苦悩の物語。この構図は第6話「裏切りの引鉄」第8話「呪いの初夜」と同じ螺旋状の迷宮だ。銃、悪夢、土偶と使っている道具は違うけど内容は同じ。時間の短さゆえか、先が読めてしまう展開なのも全く同じだ。
5分/★★★☆☆
(2003年7月26日)

#12 13人目の犠牲者/サスペンス

<監督>
O・メガトン
<脚本>
ロラン・ペラン
<出演>
マニュエル・ブラン
マルゴ・アバスカル
<ストーリー&コメント>
2000年8月6日。頻発している連続殺人事件の捜査がいよいよ大詰めの段階に入ったと伝えるニュースの声で、1人の女がホテルの13号室で目覚める。そこへ、1人の男が部屋に入ってくる。状況の理解できない女に対し、男は「憶えてないのか、僕は君の亭主じゃないか」と説明を始めるのだが…。
今回は、ちょっと趣向が違った出だしでよかった。だけど残念なことに、やっぱりラストが途中で読めてしまうんだよなぁ。
第12話なのに、「13人目」なのは何故か?タイトルのつけ方が今回一番面白かった点かもしれない。
8分/★★★☆☆
(2003年8月2日)

#13 テントウムシの娼婦/サスペンス

<監督・脚本>
サラ・レヴィ
<脚本>
オリヴィエ・ドルー
<出演>
エドゥアルド・モントート
ナタリー・ビアネメ
<ストーリー&コメント>
1971年5月22日。ホテルの13号室で女が一人、男を待っていた。そこに現れた男は、女を罵り、激しく痛めつけるのだった。暴力的な関係に依存している二人だったが、女はそんな関係を今日こそ断ち切ろうと画策するのだった…。
ついに最終話。今回の男女はサドとマゾの関係(?)で、今までとはちょっと趣きが異なった。だが、オチは前に見たことのあるような有りがちなもので…。このシリーズの全体を端的に表わした一話。短い時間の映画を作るのは難しい、と。設定に凝ったり、演出に凝ったりしても、一番肝心なのは最後の劇的なオチだということ。
全部を見て、第9話「狂気のゲーマー」が最も僕の好みだったかな。
7分/★★★☆☆
(2003年8月9日)