Callin' you


自己嫌悪の波は、果てしなく続く
繰り返し繰り返し、休みなく押し寄せては
心の岸辺に儚く積み上げた砂の城をいともたやすく押し流していく

自分がどうしようもない、最低な人間に思える

言葉では、わかっているのに
理屈では、わかっているのに

どうしようもない思いに胸をかき乱されて
これだけは守りたいと思っていた
心の中のごくわずかな、小さな砂地さえも沈められてゆく

胸を焦がすほどの切なさ
身体の奥底が奮えるような怒り
自分の身を傷つけてでも逃れたいほどの嫉妬

それら多くの感情から逃れられるほど、僕は強くない

それら多くの・・・
本能の赴くままの欲求に言葉と理解が逆らえない

波にさらわれるたびに、何度も築きなおした砂の城

再び風が吹いて、僕の心は押し寄せる波に抗えなくなってしまった

もう一度、歩き出せるのだろうか?
もう一度、信じてみてもいいのだろうか?

答えの出ない暗闇の中に、僕は明日の道標を探している

手に触れるものなど何もない暗闇の中で
自由に動くことすら許されない深海の底で

何を頼りに生きていけばいいのだろう?

考えつづけた
ひたすら走りながら、考えつづけた

激しく風が吹き、雲が流れ、粉雪が舞った

一度は見つけたと思えた答えさえも
手にとってみるとそれは粉々に砕け散って
後には痛みと悲しみだけが遺される

再び歩き出せると思えた
いつか見た夕陽
心の中で、いつでも輝きつづけていた真実の灯火

それすらも今は、わずかの熱をも残すことなく消え去った

かつてここに、灯火がゆらめいていた
そのことすら疑いたくなるほどの寒さと闇と孤独

すべてを捨てて逃げ出したい
すべてのものを壊したい
僕を知っているすべての人を傷つけてしまいたい
僕を信じているすべての人を裏切ってしまいたい

行き交う誰か
誰でもいいから僕を思いきり殴ってくれ
でないと、気が変になってしまうから

行き交う誰か
誰でもいいから、不意に僕を刺してくれ
でないと、誰かを殺してしまうから

終わりの見えない夜は、さらに闇を広げて僕を包み込む

いつ果てるともわからぬ闇の中を
ブレーキの壊れた車で疾走するかのように
己の精神を壊してしまいたい衝動に逆らう力が
今の僕にどれだけ残されているのだろう?

秘められた狂気の中で
踏みとどまれるだけの理性が
今の僕にあとどれだけ残っているだろう

叫んでも届かない

届いても伝わらない

伝わっても感じられない

感じられても信じられない

僕の声は今日も虚しく空に響き
君の名を呼ぶ声もやがて枯れ果てる

2002.1.14


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