If


遠く 遠く
どこまでも遠く
果てしない空のかなた

白鳥が一羽 静かに飛んでいた

星のない夜には
何処にいても 海の囁きが聞こえるような気がした


もし僕が 大きな翼を持っていたなら
いつでも君の窓辺へ
暖かな季節を運ぶだろう

もし僕が 虹のカケラだったなら
いつでも君の空へ
優しい雨を降らすだろう

もし僕が 木々のざわめく森だったなら
いつでも君の道へ
穏やかな日差しをそそぐだろう

それはとても とても小さなこと
だけど とても大きな 大きなこと


もし僕が 山肌をくだる川の流れだったなら
いつでも君のそばへ
豊かな大地の恵みを運ぶだろう

もし僕が 空に轟く稲妻の叫びだったなら
いつでも君が落ち込んだときには
心を守る糧になろう

もし僕が 押し寄せる波のささやきだったなら
いつでも君の港へ
寄せる船を助ける力になろう

それはとても とても小さなこと
だけど とても大きな 大きなこと


もし僕が 燃え盛る炎の熱だったなら
いつでも君のその冷えた肩を
抱きしめる温もりになろう

もし僕が 震える弦の奏でる音だったなら
いつでも君のその寂しい心を
楽しませる歌を奏でよう

もし僕が いつでも君の支えだったなら
いつでも君を
君だけを守る盾になろう

それはとても とても小さなこと
だけど とても大きな 大きなこと


遠く 遠く
どこまでも遠く
果てしない空のかなた
誰も知らない空の下へ

やがて一羽の白鳥は 飛ぶのに疲れ果て
梢に羽を休めるだろう

遠く 遠く
どこまでも遠く
いつかきっとたどりつける
約束の地へと

もし僕が 大きな翼を持っていたなら
一人 力強く羽ばたいていこう

2001.4.23


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