キートン作品選

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キートンの警官騒動
COPS
1922年アメリカ/短編コメディ

<監督・脚本・出演>
バスター・キートン
<監督・脚本>
エドワード・F・クライン
<出演>
バージニア・フォックス
ジョー・ロバーツ
スティーブ・マーフィ
<ストーリー&コメント>
知事の娘に恋した青年だったが、立派な事業家でもないと相手にしないと言われてガッカリする。フラフラと町に出た彼は、紳士の落とした財布を拾って、偶然にもその中身をもらってしまう。そこから彼の運命は彼自身の想像しないところへと転がっていくのだった…。
どこか“わらしべ長者”を思わせるような物語なんだけど、いまいち面白くなかった。偶然の連続で運命が変わっていくというよりは、彼自身の選択によって淡々と物語が進んでいく感じ。警官の大群に追われて、長いハシゴでやりすごす様子は面白かったけど。同時期の『キートンの電気屋敷』の方が単純で面白かったかな。
20分/★★☆☆☆
(2003年12月19日)

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キートンの強盗騒動
THE GOAT
1921年アメリカ/短編コメディ

<監督・脚本・出演>
バスター・キートン
マルコム・セント・クレア
<出演>
バージニア・フォックス
ジョー・ロバーツ
エドワード・F・クライン
<ストーリー&コメント>
偶然にも、指名手配犯の人相写真に写ってしまった青年。ところが犯人はまんまと脱獄し、あらぬ疑いをかけられてしまった青年は、警官に追われ、街の人たちからは恐れられることになるのだが…。
内容的には、正直ボチボチ。ところどころ面白いギャグもあるんだけど、ストーリーがあまりにも行き当たりばったりすぎるかな。最後のオチもいまいち納得がいかないし。それで終わりでいいのか?という。
面白かったのは、冒頭のマネキンの後ろに並んでしまうシーンと、走り出した車の後ろにタイヤごと取り残されてしまうシーン、あとはエレベーターの矢印。特にエレベーターは、矢印で動くもんじゃないだろうに(笑)
23分/★★★☆☆
(2005年10月30日)

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キートンのゴルフ狂の夢
CONVICT 13
1920年アメリカ/短編コメディ

<監督・脚本・出演>
バスター・キートン
エドワード・F・クライン
<出演>
シビル・シーリー
ジョー・ロバーツ
ジョー・キートン
ルイス・キートン
<ストーリー&コメント>
ヘタだが大のゴルフ好きの青年は、打ったボールが壁に当たり跳ね返り、それに当たって気絶してしまう。そこへ、隣接する刑務所から脱獄した男が現れ、倒れている青年と服を取り替え、まんまと逃走してしまう。意識を取り戻した青年は、刑務所の看守たちから追いかけられる羽目になってしまう。しかも運の悪いことに、その日は逃走した脱獄囚の死刑執行日で…。
イマイチだった。原題は『囚人13号』なのに、邦題が『ゴルフ狂の夢』。ゴルフ関連の話かと思いきや、物語はほとんど刑務所だったりして。勘違いしながら観ていただけに、シックリこない感覚は最後まで続いた。オチもちょっとイマイチ。
20分/★★☆☆☆
(2005年8月5日)

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キートンの即席百人芸
THE PLAYHOUSE
1921年アメリカ/短編コメディ

<監督・脚本・出演>
バスター・キートン
<監督・脚本>
エドワード・F・クライン
<出演>
バージニア・フォックス
ジョー・ロバーツ
<ストーリー&コメント>
舞台の裏方をしている青年は、わがままな劇場支配人ジョーの要望に応えなければならない。しかし、支配人のあごひげについたタバコの火を消そうとしたはずみに、彼をノックアウトしてしまい、劇場内を逃げ回ることに…。
冒頭のミンストレル・ショーのシーンは、出演する芸人や観客をすべてキートンが演じている。正直、どうってことのない作品で、あまり記憶に残ってない…。
22分/★★☆☆☆
(2005年12月8日)

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キートンの電気屋敷
THE ELECTRIC HOUSE
1922年アメリカ/短編コメディ

<監督・脚本・出演>
バスター・キートン
<監督・脚本>
エドワード・F・クライン
<出演>
バージニア・フォックス
ジョー・ロバーツ
ジョー・キートン
ルイス・キートン
マイラ・キートン
<ストーリー&コメント>
大学を卒業した青年が、電気技師と勘違いされ、豪邸の電化(電気による自動化)を任される。彼は苦心しながらもエスカレーターやプールの排水装置などを設置したが、本物の電気技師が屋敷に忍び込み、腹いせのために配電盤をいじってしまう…。
チャーリー・チャップリン、ハロルド・ロ イドと並び、三大喜劇王の一人としてサイレント時代を中心に活躍したバスター・キートン。有名な彼の作品を初めて観た。もちろんサイレントだったんだけど、テレビでは軽快な音楽と共に映画説明(活弁)が聞けた。『快楽の園』なんかが字幕だけで理解に苦しんだのに比べると、随分親切でわかりやすかった。
内容も、とても楽しいコメディだった。そもそもの発端は‘卒業証書の取り違え’なんだけど、それがここまでの話に膨らむのが面白い。
現代のように派手なアクションも流麗なCGも無いけど、アイデアだけで映画は面白くもつまらなくもなる。古い作品にも、今観ても充分楽しいものがあるんだということをあらためて知りました。
22分/★★★☆☆
(2003年12月18日)

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キートンのハイ・サイン
THE "HIGH SIGN"
1921年アメリカ/短編コメディ

<監督・脚本・出演>
バスター・キートン
<監督・脚本>
エドワード・F・クライン
<出演>
バーティン・バーケット
チャールズ・ドレティ
アル・セント・ジョン
<ストーリー&コメント>
無職の青年が、新聞の求人広告欄で射的のエキスパート募集記事を見つける。銃などまともに扱えない彼だったが、巧妙な仕掛けをしてまんまと採用に成功。そんな彼の腕前にほれ込んだ男が二人。射的店店主は表の顔、その実は極悪非道なギャングの親分と、そのギャング団から命を狙われ、彼をボディガードに雇いたいという実業家。青年は、二人の申し出を断りきれないまま、実業家の自宅へ向かうのだった…。
イマイチだった。ギャグの水準も標準なものばかりだし。指を鼻にあてる仕草(ハゲワシ団の証)だけが逆に浮いてしまっていた。隠れ道だらけの家も、穴だらけすぎて逆にドタバタした印象。
21分/★★☆☆☆
(2005年10月29日)

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キートンの化物屋敷
THE HAUNTED HOUSE
1921年アメリカ/短編コメディ

<監督・脚本・出演>
バスター・キートン
<監督・脚本>
エドワード・F・クライン
<出演>
バージニア・フォックス
ジョー・ロバーツ
<ストーリー&コメント>
女にはめっぽう弱い青年の勤める銀行。出納係の大男は郊外の古屋敷で偽札作りに余念がない。他人を寄せ付けないよう建物のあちこちに細工をこらし、化け物が出るという噂まで流していた。そんなある日、青年は接着剤のついた手で紙幣を扱ってしまい、銀行中が大騒ぎ。さらにそこへ強盗事件が発生し、日頃の無能ぶりから強盗容疑がかけられた青年は、警察に追われて化け物屋敷へと逃げ込むのだが…。
なかなか面白かった。キートンの王道コメディです。特に面白かったシーンは、回る床と、幽霊を交通整理するところ。この頃のコメディ映画は、ストーリー云々よりも、ひとつひとつのギャグの面白さで勝負。
25分/★★★☆☆
(2005年10月17日)

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キートンのハード・ラック
HARD LUCK
1921年アメリカ/短編コメディ

<監督・脚本・出演>
バスター・キートン
<監督・脚本>
エドワード・F・クライン
<出演>
バージニア・フォックス
ジョー・ロバーツ
<ストーリー&コメント>
仕事もなく、食べるものもない青年。恋人にもふられ、自殺を決意するが、何をしても死ぬことができない。彼は、酔った勢いで大巻き狩りのハンターに名乗りをあげてしまうのだが…。
とても面白かったです。キートン自身も、大変気に入っていた作品なんだとか。
随所での細かいギャグは毎回笑わせてくれます。彫像になりすますのは定番だし、自殺しようとして車のライトの前に飛び出したら2台のバイクだったり、馬に乗り、ボートのオールを使って川を下ったり。
ただ、ストーリーがかなり行き当たりばったりなのが残念と言えるかも。この時代のコメディには、そこまでのものは求められていなかったということなのかな。
22分/★★★☆☆
(2005年9月19日)

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キートンの船出
THE BOAT
1921年アメリカ/短編コメディ

<監督・脚本・出演>
バスター・キートン
エドワード・F・クライン
<出演>
シビル・シーリー
<ストーリー&コメント>
DAMFINO(知るもんか)号は、青年が家族のために造ったハンドメイドの船。だから、進水式で沈んでしまうし、あちこち穴だらけで大変。家族みんなで手直ししていよいよ出航するものの、外洋に乗り出し夜も更けたころ、この小さな船を嵐が襲うのだった…。
初期の作品群の中でも完成度の高い作品との評価だけど、個人的にはちょっとイマイチ。これは賛否両論だろうけど、やっぱり舞台が狭い船の中という限られた空間なことが、ギャグの幅を狭めていると思う。空間的な制約があることで、起こりうる出来事はある程度予想できる範囲のものだからね。船がグルグル回るシーンは面白かったけど。
20分/★★☆☆☆
(2005年10月30日)

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キートンの文化生活一週間
(キートンのマイホーム)
ONE WEEK
1920年アメリカ/短編コメディ

<監督・脚本・出演>
バスター・キートン
<監督・脚本>
エドワード・F・クライン
<出演>
バスター・キートン
シビル・シーリー
ジョー・ロバーツ
<ストーリー&コメント>
新婚のお祝いに、土地と組み立て式住宅をもらった若い夫妻。二人は力を合わせて組み立てに取りかかる。だが、かつて新婦にふられた男が建築素材にイタズラをしてしまい、出来上がったのはヘンテコな形の家。だがそれでも、新婚の夫婦には大切なマイホーム。そんな中行われた新築パーティーの最中に大嵐がやってきて…。
1週間の出来事をギャグ満載で描いた初期短編の傑作。
すごく面白かった!古い映画でも、短い映画でも、その笑いのエッセンスは永遠に衰えません。チャップリンと違って、コミカルな動きも笑顔もないキートンだけど、その体当たりのコントには微笑んでしまうんですよね。特に、最後の「回る家」は大爆笑でした。
20分/★★★★
(2005年8月3日)