星の降る丘


秋空に尾をひく長い雲
輪を描いて踊るとんぼを追いかけて
長い坂道を駆け上がった
丘の上には緑の香りひろがる草原
思いきり息をきらして走った
ねころんで芝のついたGジャン
思いきり声をあげて笑った

 この秋の空の彼方に冬がきている
 それまで僕ら こうして笑いあえるのかな
 木々と夕陽がいろどる地平線
 家路へと走り去る子供たち
 北風はもう冬の気配

「星空を見に行こうよ」って
電話の向こうで はずむ君の声
いつもの街角待ち合わせて
MAINSTREET ROUTE 8 TO THE WESTSIDE
CAR RADIO 「LATE FOR THE SKY」
あの場所へ 自然のプラネタリウム
抱き寄せて 唇をかさねて…

 「もうすこしそばにいてよ」と君がつぶやく
 君は気づいてた 別れが近づいてたこと
 キャンドルライト 悲しげな横顔
 窓の外 足早に急ぐ人
 雪の降るあの街角へと

 君の暮らした古い町なみも
 もう見ることはできないよ

 いつかまた この丘の上で君に会えたら
 その時僕は笑ってつぶやくはずなのさ
 「ひさしぶりだね元気だったかい
  もう一度 あの笑顔見せてよ」と
 もう僕を忘れてしまっても

 丘の上には変わらない草原
 北風がまた吹いているよ…

1997.10.22(旧題「丘の上の草原」)

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