横浜ベイスターズ38年ぶりの日本一


10/8、甲子園球場で行われた阪神−横浜の最終戦にマジック1で臨んだ横浜。リードを許す苦しい試合だったが、8回表2アウト満塁の好機に進藤が2ベースヒットを放ち逆転。斎藤隆が7回までを投げ、8回からは万を持してハマの大魔神、史上最強のストッパー佐々木を投入、9回には3三振を奪う快投。4−3の逆転勝利で38年ぶりのリーグ優勝を果たした。権藤監督曰く「私はこの選手たちに絶対の自信を持っている。勝つことだけが目標だ」昨日パ・リーグ優勝を決めた西武との日本シリーズは雨天中止もあり、第6戦までもつれこんだが、鈴木尚典など打線が好調だった横浜が4勝2敗で制し、38年ぶりの日本一に輝いた。

<レギュラーシーズン回顧>

ペナントレース。12球団すべの目標がリーグ優勝、そして日本一である。年間135試合の積み重ねがリーグ優勝を目指してのものである。物事にはすべて「相応しい」条件があると思う。今年のプロ野球は、色々な面で話題の多い1年だった。

<パ・リーグ回顧>

今年のパ・リーグで優勝するに相応しいチームはどこか。言うまでもなく日本ハムである。前半戦を大きく勝ち越し、自慢のビッグバン打線は本塁打を量産した。巨人の松井が最終戦で100打点を達成したが、ウィルソンは中盤ですでに100打点であった。田中幸雄はトップバッターに定着して強打を発揮し、片岡は3割の打率で首位打者を狙える位置であった。投手陣も安定したリレーで他の5球団を寄せ付けなかった。圧倒的なチーム力の日本ハムであった。それが、何故。結論から言えば後半戦の急降下である。なぜあそこまでの失速をしたのか。優勝経験の無さからくるものか、投手陣の崩壊か、打線の沈黙か。全てが同時に起こってしまった悪夢の後半戦であった。クリーブランドのホアン・ゴンザレス(インディアンス。オールスターまでに100打点を越え、シーズン最多の198打点更新なるかと言われたが後半戦で失速、結局サミー・ソーサが打点王になった)の如くウィルソンは沈黙した。横浜ベイスターズも後半戦の最初打線の沈黙に苦しんだが、そこでふんばれる投手陣の層の厚さが明暗を分けた。結局日本ハムは、自らの不甲斐なさで優 勝を逃したのである。日本ハムは1981年以来優勝から遠ざかっている。年間を通じて安定した力を発揮し、優勝することの難しさを知らされた日本ハムの1年だった。前半戦まさかの連敗で最下位に甘んじていたオリックスだが、終わってみればいつのまにか優勝圏内に入っていた。日本ハムの成績次第ではマジック対象チームにもなる勢いであった。まさに日本ハムとは対照的な1年だった。意外性と言えば福岡ダイエー。日本ハムの失速ばかりが話題になっていたが、気づけば優勝争いに割り込んでいた。しかしやはり棚からぼたもちで優勝できるわけもなく、最後には力尽きた。この両チームに言えることは、やはり優勝するに「相応しい」決め手がないことだろう。オリックスはイチローの活躍のみが浮き彫りにされ、藤井が30本塁打を打つ活躍を見せたものの、やはり投手陣の崩壊が致命的であった。ストッパーに定着した木田だったが、FAでメジャー挑戦を表明したこともあり来期のチーム作りは一からの出直しとなるだろう。ダイエーは主砲の小久保の脱税事件による離脱が大きく響いた。井口、城島ら若い選手が活 躍したものの、昨年はリーグ1の本塁打数を放った打線は低迷した。投手陣では西村や武田が活躍したが、やはり1年を通して優勝できる投手層を作らねばなるまい。最初から最後まで最下位をさまよった千葉ロッテ。今となればバレンタイン監督のもと2位になったのが嘘のようである。去年は新人王小坂が活躍して目立っていたが、今年は特に見るところもなく定位置の最下位。投打共に見所が見当たらない。光明は見えるのか。そして・・・我が近鉄。終わってみれば・・・である。中盤盛り上げたくせに、気づけば5位。ダイエーはおろか、オリックスにまで抜かされている。一体全体、どういうことなのか。確かに、ひいき目に見ても今年の戦力は優勝というにはおこがましい戦力かもしれない。先発投手はパッとせず、絶対的なエースもいない。中継ぎのエース佐野は故障で1年を棒に振り、抑えの赤堀も低迷。トレードで来た投手は活躍せず、生え抜きの投手も伸び悩んでいる。投手の中でがんばったのは大塚ぐらいのものか。高村、岡本、酒井、小池といった先発陣がもっと自覚をもってシッカリと投げない限り優勝 は不可能なのである。ルーキーでがんばった真木だが、セ・リーグの希に見るハイレベルの新人王争いに比べ、真木程度の成績で新人王をもらうのも失礼な気がしてしまう。打線はどうか。中村紀洋が自身初の30本塁打を放ち奮起した。クラークは、イチロー、ウィルソンの影に隠れたものの、打率、打点とも2位の活躍を見せた。大村、武藤の1,2番がが走攻守にわたる活躍をみせた。だが、去年から大阪ドームに球場が変わったことで近鉄の野球は変わってしまった。自慢のいてまえ打線の爆発力は影をひそめ、こじんまりとした打線になってしまった。ブライアントがいたころが懐かしい。やはり、一人打線の核となる、石井のようなバッターが必要である。12球団で唯一日本一の経験がない我が近鉄バファローズ。僕が生きてるうちにそのシーンを見ることはできるのだろうか。優勝した西武。セ・リーグしか野球を知らないファンや、巨人だけが野球と思っているブラウン管の前の人々。彼らが西武優勝と聞けば、「やはり西武か」と思うのだろう。それほど彼らにとって、そしてパ・リーグ党の僕にとって森西武は強かった。しかし、今はもうあの西武とは別 のチームなのである。西武黄金時代の選手で残っているのは潮崎、伊東、田辺ぐらいなものである。それを知らずにパ・リーグを語られると悔しいのだが、生まれ変わった新生東尾は別の意味で強いのかもしれない。足を使った攻撃に幅がある。それに伝統の勝負強さ。今年の内容だけを見れば決して優勝に「相応しい」チームではない。投手陣は安定しているが、他にはこれといって決定的なものはないように思える。だが、やはりここ一番の勝負強さは目を見はるものがあるのだろう。終わってみて、去年の優勝チームが西武であることに気づいた。そのぐらい希に見る混戦。言ってみればかなり低レベルの争いだった。それだけに一喜一憂したシーズンだった。最後に、すごすぎてもはや話題にもならないが、史上初の5年連続首位打者に輝いたイチローに敬意を表したい。

<セ・リーグ回顧>

優勝に相応しいといえば、今年の横浜ほどのチームはないだろう。連日のように連打を繰り出す打線。安定した投手起用。権藤さんならではの哲学といえるだろう。新人の年に400イニングを投げ、35勝をあげた怪物投手。「雨、雨、権藤、雨、権藤」という当時の流行り文句がおもしろい。しかしそのせいで肩を壊し、選手生命は短命だった。先発だけでなく中継ぎ投手にもローテーションを作るというやり方は新しいものだった。監督が言うように、すべての選手が自分の持てる以上の力を発揮したシーズン。これほど優勝に相応しいチームもないだろう。この勢いで日本一もつかみとってほしいものである。パ・リーグ党の僕だが、今回ばかりは横浜を応援する。現在、ゲームを見ていて日本一楽しいチームだからである。その中でも最高の時間は最終回にやってくる。湧き起こる「佐々木」コール。偉大なる江夏を抜いたことすら通加点に感じさせる男。佐々木こそ史上最強のストッパーと呼ぶに相応しい投手であろう。個人的には、佐々木が今年のMVPだと思う。セ・リーグの試合はあまり見ないので評価するのがはばかられるが、いくつか心にとまって点 をあげておく。優勝こそ逃したものの、中日は頑張ったと思う。チームカラーは横浜と似たチームだが、勝負の明暗は打線の勢いか。横浜に比べ中日は連敗が多かったのも敗因だろう。去年から近鉄同様、球場が広くなった中日だが、見事に適応していると思える。個人的にはセ・リーグで一番好きなチームの広島だが、今年は底辺をさまよった。故障者が多かったのと、投手層の薄さが敗因か。見所の多いチームだけに、期待はしているのだが。三村監督が今季限りで退団、達川新監督を迎える来季だが、その説得力の有る哲学がどう実を結ぶのか。去年の日本一からまさかの低迷、ヤクルト。野村監督が退団することになったが、9年間で4度のリーグ優勝、3度の日本一は名将と呼ばれるに相応しい成績だ。小粒の選手が多いが、見事にやりくりして優勝してみせた様は、年俸だけで成績が決まるわけではないことを証明してくれた。来季からは若松新監督のもと、どのような野球を見せてくれるのか。今年も当然のように最下位の阪神。ロッテ同 様、苦しいシーズンだった。ルーキー坪井、今岡あたりが活躍したのがせめてもの救いか。チーム浮上に最も必要なのは、勝つ意欲なのかもしれない。脱税事件から見事に立ち直りノーヒットノーランを達成し、10勝をあげた川尻に、その鍵を見た。巨人といえば松井、高橋の活躍か。松井の本塁打王、高橋のルーキー離れした活躍はアッパレとしか言いようがない。高橋は新人王確定だろう。桑田も故障から復帰して最多勝を狙える位置というのは見事だった。今年のセ・リーグは横浜一色。僕にしてみればそんな1年だった。日本一に向けて頑張れ!横浜!

<日本シリーズ展望>

展望というか・・・大予想(笑)
序盤でリードして佐々木を出したくない西武、なんとか佐々木までつなぎたい横浜。
シリーズの鍵を握るのは、やはり先発投手の出来のようだ。
横浜 4−1 西武
日本シリーズが楽しみだね。

<結果>

横浜 4−2 西武

惜しかったなぁ・・・(笑)
まあ、いいか。横浜ベイスターズ、38年ぶりの日本一おめでとう!

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