村治佳織ギターリサイタル
2004 Autumn〜Winter

富山・宇奈月国際会館セレネ
(2004/10/22・金)

村治佳織が奏でるクラシックギター・リサイタル

チケット

 Before Stage

クラシックの演奏会だけに、ライブやコンサートじゃなくてリサイタルなんですね。
会場となったのは、富山県の温泉地・宇奈月にあるセレネ美術館。
夏に家族で訪れた時、村治さんの公演があることを偶然知って、その場でチケットを買ったんです。
それ以来、待ちつづけていたこの日。

台風も過ぎ去ったはずなのに、富山県内はあいにくの雨。
でも、雨の中散策する、ひなびた温泉街というのもなかなかオツなものです。
ちょっと早めに着きましたが、貸し切り状態の足湯で気持ちよくなったりしながら待機。

宇奈月駅から見たセレネ美術館
雨に濡れた宇奈月町。宇奈月駅から見た風景です。
観光バス用の大駐車場越しに見えるのがセレネ美術館です。

とくに今さら説明する必要もないと思いますが、村治佳織さんは注目のギタリスト。
1978年生まれというから、僕より4つ下の26歳。
最近では、車やお茶のCMにも出演されているので見覚えのある方もいるかもしれませんね。
若くして才能にあふれ、しかも可愛い(笑)
アイドル系のルックスに、ギタリストの父譲りの才能豊かなギター演奏。
(ちなみに、弟さんもプロデビューしたギタリストです)
天は特定の人間にニ物も三物も与えて、世の中ってのはとかく不公平にできてるものです。

チラシ
チラシ

彼女の演奏を生で聞くのはもちろん初めてだったんですが、とても素晴らしい演奏でした。
時には激しく、時には切なく、女性ならではのしなやかな奏法をまじえつつ
その世界観にタップリとひたれるひとときでした。

交響楽団やオーケストラは別として、クラシックのリサイタルというのは初めてだったので
勝手がわからず、ロック・コンサートとは全く違う楽しみ方に最初はとまどいましたけどね(笑)

会場となった宇奈月国際会館セレネは5階建てくらいの大きな建物で、レンガ造り風の
クラシカルな装飾が郷愁を誘う、とても素敵な複合文化センターです。
主な見どころはセレネ美術館ですが、4階にはこんなホールもあったんですね。

コンサートホール
ホールの様子

席数は700。
こじんまりとしたホールです。ステージがとても近い!
中央にある小さなステージの周りに、なだらかな階段状に客席があります。
バームクーヘンを3分の1に切ったような感じです(笑)
僕の席はLということで、11列目。
(Aはなく、客席はB列から始まる)
ステージの真正面で、とてもいい席でした。

開場時間が近くなって4階に上がっていくと、そこにはグッズコーナーがありました。
グッズといってもキャラクターものはなく、市販のCDと写真集のみ。
ルックスがいいから、写真集も出せちゃうんだよね(笑)
この写真集、サンプルが1冊あって、パラパラとめくって見たんですが
普段の彼女の笑顔がいっぱいで、なかなかいいものでした。

開場時間になってホール内に入っていくと、ステージの上には
ポツンとイスが1つ。
レストランのダイニングテーブルに備えつけのような、ちょっと背もたれの長い四角いイス。
ほんとに一人っきりでやるんだなぁ。

座席につくと、イベンター絡みのチラシとともに、パンフレットが置かれていました。
もちろん、そんなに分厚いものではなく、6枚分12ページというもの。
クラシックのコンサートでよくあるような、公演内容の書かれたものです。
コンサート日程や本日の(というか、ツアーの)公演曲目と、その解説。
そして、彼女のプライベートの写真とともに、手書きの日記が掲載されていました。
ツアーの開始前に、バカンスで“南の島”を訪れているときのもの。
この表情が、またいい!(笑)

そんなことを考えているうちに、開演を告げるブザーが鳴りました。

 Stage Act 1

ステージ上手から登場した彼女は、ちょっと胸元の開いた深紅のドレス。
イブニングドレスっていうんでしょうか、足元まですっぽりと覆い隠すぐらいの長いスカートで。
右手には、もちろんクラシックギターが抱えられています。
盛大な拍手に迎えられて、深々と一礼をしてから中央のイスへ。

クラシックギター奏者の演奏をテレビなどで見たことがある方はわかると思いますが、
クラシックギターの場合、左足を台の上にのせて、傾斜をつけてギターを構えるんですよね。
ちょっと車のジャッキみたいなあの台…正式な名前はなんて言うんだろう?
ちなみに、台に乗せた左足は黒いブーツでした。

ちょっと調弦をしてから、おもむろに1曲目を弾き始めます。
僕はここで初めて気がついた。
「アンプラグドなんだ!」
そう、アンプを通しての音ではなく、生音だったんですよね。
これはかなり衝撃的でした。
普通ロックのライブなどでは、ギターは機械で音を拾い、スピーカーを通して大きな音を出します。
それがなく、ここで聞こえる演奏は、まさに彼女の指先が弾いている弦の響きそのものの音。
驚いたし、なんだかとても嬉しかったですね。
いかにも生演奏という感じがしたし。
(冷静に考えれば、クラシックの演奏って普通みんなそうですよね)

たった一人っきりで、こんなふうに演奏するんであれば、そりゃ大きな会場では
さすがにムリがあるよなぁ。
富山オーバードホールあたりじゃ、5階席まで音が届かないかもしれないしね。

この夜の驚きというか、普段慣れ親しんでいる「ライブ」との違いによる戸惑いは
これがまだほんの始まりでした。

1曲目の演奏が続き、最後の音が響き渡って、その音がしずかに消えていく。
その余韻の、最後の最後の一秒まで、シーンとした沈黙が続く。
そして、彼女は立ちあがってニコリと笑顔で深々と一礼。
これですべてが終わったことを察知した客席からは、大きな拍手。

僕もそうですが、彼女のコンサートが初めてのお客さんが多かったんじゃないかなぁ。
みんな、勝手がわからないという感じでしたからね。

歌のあるライブの場合は、曲の終わりがわかりやすいんですよね。
だけどクラシックの演奏の場合は、どこが終わりかわからない(笑)
僕はクラシックが好きですが、そんなにたくさんの曲を知っているわけじゃないし
この夜彼女が演奏した曲目も、ほとんどが知らない曲でした。

だから正直、その演奏が曲本来のクオリティと比べて、いいのかどうかはわからなくて。
もちろん、演奏の素晴らしさ自体は思いっきり感じられるんですけどね。
僕みたいな三流ギターマンからすると、奇跡としか思えないような(笑)指の動きも
時折はさまれる様々なギター演奏のテクニックも、言葉にするのはとても難しいんですが
僕自身の感覚としては、とても感激したんですよね。
ただ、曲のよし悪しについては、やっぱりなんとも言えないですね。
メロディとか曲調から、単純に「この曲が好き」とかはあるけど。
そのあたり、僕自身のクラシック系のコンサートに対する経験値があまりにも低いことを
認識さぜるを得ませんでした。
だから、今回のレポートも曲に対する感想というのはほとんどありません(笑)
リサイタルの進行とか、後半部分のトークを記すのが精一杯です。

あともうひとつ、全ての曲が暗譜でした。
楽譜とかなくて、全て憶えているんだね。すごいよね〜。
どの曲もけっこう長いのに…。これはかなりの驚きかも(笑)

ほとんどの曲が初めて聴くものなので、わりと淡々と時間は流れていきます。

それもそのはず、トークが全くない(笑)
1曲を弾き終わったら、そこで立ちあがって一礼。
そして、ステージ上手に引き下がっていってしまうんですね。これには驚きました。
そして、またすぐに出てくる。ほんの一瞬なので、客席はその間ずっと拍手です。
一度ひっこむ、あの意味はどこにあるんでしょうか?
もちろん、一人っきりでずっと演奏しているわけですから、かなり疲れるでしょう。
指の運動?水を飲みにいく?
そんな、一瞬のブレイクをとるためにひっこむんでしょうか。

トークもなく、隣の人が息をのむのもわかるぐらいの、全くの静寂。
そしてギターのみの演奏。
疲れてたり、興味のない方は…寝てしまうかもしれませんね(笑)

5曲目が終わったところで、さらに驚き(これで5つ目?)。
また同じように上手に引っ込んで行ったと思ったら会場内が明るくなって。
「ここで20分間の休憩になります」
って、休憩かよ!(笑)

まだステージが始まってから30分ほどしか経ってないあたり。
これは、思ったよりサクッと終わってしまうのかもしれないなぁ。

でもまぁ、前述したように一人っきりで演奏してるわけだから。
そりゃあ休憩も必要だよね。

かなりのお客さんが席を立ち上がって、トイレに行ったりしていました。
客席もずーっと緊張しっぱなしだし、この休憩はいいのかもね。

  1. デュアーテ:イギリス民謡組曲
  2. 武満徹(編曲):ギターのための12の歌より
    オーバー・ザ・レインボウ
  3. リード&メイスン/武満徹(編曲):ラスト・ワルツ
  4. タレガ:アラビア奇想曲
  5. タレガ(編曲):ヴェニスの謝肉祭による変奏曲

 Stage Act 2

20分間の休憩が終わり、時間は7時45分頃だったかな。
後半のステージが始まりました。
いつの間に用意されたのか、ステージにはイスの横に小さなテーブルがあって
その上にはマイクが置かれていました。
おぉ!後半はトークがあるのか!
ズットトークなしも覚悟していたので、これは素直に嬉しかったですね。
やっぱり、彼女の声が聴きたいよ。

再び、盛大な拍手に迎えられて上手から現れた彼女。
衣装を変えていて、黒いドレスになっていました。
今度はロングスカートじゃなくて、いかにも「ステージ衣装」という感じの…
なんていうんだろう。
パンツスタイルの上に、薄いシースルーのものを1枚まとってる感じの。
クラシックのライブレポート以上に、ファッションに関する表現も苦手だ(笑)
ファッションと車に関することは、極端に語彙が少ない僕です。

そして、同じように一礼してからイスへ。
ギターを構えてから、マイクを手にとって第一声。
村治「みなさん今晩は。本日はお足元の悪い中、リサイタルに来ていただいて本当にどうもありがとうございます。本当に台風の日に当たらなくてよかったなぁと(笑)10月はどうしても、台風とにらめっこというか…いつも緊張しながらツアーが進んでいくんですけど。お陰様で私は、スレスレで台風の行く道を逃げながらここまで辿りついて(笑)演奏会の日が台風にぶつかったということはないので、お天気の神様に感謝です。」
端正なルックスとスーパー演奏テクニックの他に、お天気の神様も味方しているのか(笑)
村治「1部は、ギターのオリジナルの曲のタレガの作品などをいろいろ聴いていただきましたけれども、後半はお話も入れて聞いていただこうと思います。
最初は、ギリシャのテオドラキスという方の作品を弾きますけども。この曲は、ジョー・ウィリアムスというイギリスの偉大な演奏家が、何年か前にアルバムで取り上げられていて。日本に来日公演をした際にも弾いていらっしゃって、「いい曲だなー」と思っていたんですけども。今回の新しいアルバムの中に私も入れることにして。楽譜を送っていただいて、いろいろ解釈しながら演奏しています。
ギリシャはまだ行ったことがなくて、「1回行きたいな〜」とずっと思っていたら、念じれば通じるというか。今度11月の最初の頃に、行けることになりました。それはNHKの美術番組なんですけど、この時期というのは秋なので美術番組がすごく多いんですけれども。12月に放送予定のルーヴル美術館の番組の中で…ルーヴル美術館にはたくさんギリシャの彫刻が展示されているので、私の出る幕というのは、ルーヴル美術館を離れて、その美術のルーツになったギリシャを訪ねてみようと。そこで贅沢にも演奏もしてしまおうという(笑)こういう企画をいただいて。これは本当に、願ってもないチャンスで。けっこう強行スケジュールなんですけども、ま、それは一応…20代半ばということで(笑)頑張ってこようと思います。
ま、そういうわけで。直に自分がギリシャの地を踏みしめられることになったわけですけど。この場では頭の中で想像して、ギリシャの海とか、自然とか、人々の気持ちとかを表現していきたいなと思います。それでは、聞いてください」

テオドラキスという作曲家の「エピタフィオス」という組曲。
これはどれも、とてもよかったです。
本当にギリシャの風景を感じさせてくれるというか、いろんな表情を持っていて。
僕ももちろんギリシャに行ったことはないけど、イメージの上でのエーゲ海の乾いた風とか
華やかで明るい太陽とか。そういうものへの想像が広がるんだよね。
僕は「きみは窓辺にたたずんでいた」という曲が特によかったです。
このあたりの曲は、最新アルバム『トランスフォーメーション』に収められているので
興味のある方はぜひどうぞ。

ちなみに、組曲の場合は1曲ごとに立ちはせず、一気に演奏していきます。
その間は客席の拍手も一切なし。
拍手していいのかどうか、わかんないのが正直なところ(笑)

ちなみに、曲間にこまめに調弦していたんだけど、その様子も興味深かった。
クラシックギターは、俗に言うフォークギターとはペグ(弦を巻きつける部分)の構造が
違っているんですが、あそこをグルグルとまわして、かなり弦を緩めてから
また調整していましたね。
もしかしたら、曲ごとにチューニングが違うのかな?
半音下げチューニングの曲とかになってたりするのかなぁ。
そんなの、よくその場でチューニングできるよね(笑)
そりゃもちろんプロだからということなんだけど、チューナーもなしで…スゴい。

  1. テオドラキス:エピタフィオスより
    不死の水
    わが星は消えて
    5月の日
    きみは窓辺にたたずんでいた

村治「ありがとうございました。テオドラキスの「エピタフィオス」より聞いていただきました。次は、国がガラッと変わってビートルズの曲を演奏したいと思います。この中にもたくさん、ビートルズファンの方もいらっしゃると思いますけども。私は、ビートルズの名前はよく聞いていましたが、なかなかCDを買って聞くということはしていなかったんですね。知らないうちに、いろいろなところでビートルズのメロディが流れてきて知っていた曲もたくさんあるんですけども。でも今回のレコーディングに向けていろいろ準備をする中で、「ビートルズとは…」という本を読んでみたり、5巻セットでDVDが発売されているので、それを見てみたりしたんですけども。本当に、そのフィーバーというのは、“ヨン様ブーム”どころではないというのは、今更のようにわかって(笑)それほど、ひとつのものにみんな、ファンの人たちの心が向かっていくというのはすごいなぁとつくづく思いました。もちろんそのフィーバーぶりとか、人気度というのはもちろんなんですけれども、全く個性の違う4人が集まったというのは奇跡のようなことなんじゃないかなと思ったりとか。CDも何枚か買って聞いてみたりとか、歌詞を憶えて歌ってみたりとか。私も、ビートルズファンの一員になりました」
ぜひギターで弾き語りしてほしいものです…。
村治「今回(の新アルバムで)取り上げた曲は、武満さん(編曲の故・武満徹氏)の編曲なんですけども、武満さんもやっぱりビートルズが大ファンだったそうです。武満さんの「ギターのための12の歌」という、いろいろな世界の名曲をギター用にアレンジした12の曲があるんですけれども、その中にビートルズの曲が4曲収められていて。調べてみると、すべてポール・マッカートニーさんの作った曲なんですね。なので、もしかすると武満さんの好みはジョンよりもポールさんのメロディが好きだったのかなとか、それがギターに合うのかな、と。私は生前の武満さんとは、一度だけ会釈をして挨拶をかわした程度だけで、その後亡くなってしまって残念だったんですけども。ギタリストの荘村清志さんとか、生前の武満さんと親しかった方から「すごく面白い方だった」とか、いろいろお話を聞いて、想像を膨らませています。それでは、ビートルズの4曲、そしてその後には「ロンドンデリーの歌」という、これもイギリスの古い民謡ですけども、5曲続けて。そして最後は、クラシックギターの代表曲って今もどんどん生まれているんですけども、非常に新しい曲で、ディアンス作曲の「サウダージ第3番」、これをお聞きいただきたいと思います」

後半の第2部で演奏した曲は、ほとんど最新アルバム『トランスフォーメーション』に
収められています。

ビートルズの曲は、さすがに知っているものが多かったので安心して聞けましたね(笑)
僕はビートルズを熱心に好きというわけではないですが、一般的なヒット曲ぐらいは
ある程度知ってるかな、というレベル。
「Michelle」、「Here There and Everywhere」の2曲はタイトルを聞いてもピンときませんが
曲を聞けば、やっぱり聞いたことのあるメロディでした。

「ロンドンデリーの歌」も、やっぱりタイトルだけではピンときませんが
曲を聞けば知ってる曲でした。クラシックもそうだけど、こういうことがあるよね。
アイルランドの港町ロンドンデリーで19世紀中ごろから親しまれた民謡だそうです。

ちなみに、ビートルズの4曲が終わったところと、「ロンドンデリーの歌」が終わったところで
それぞれ立ち上がって一礼していました。区切りのいいところ、ということですね。

最後に演奏された曲を作曲したのは、ローラン・ディアンスという、チュニジアで1955年に生まれた
現役のギタリストにして作曲家でした。
これ、もしかしたら車のCMか何かで演奏してる曲かな?
なんとなく聞き覚えがあったから…。
僕の知識なんて、その程度ですよ(笑)

  1. 武満徹(編曲):ギターのための12の歌より
    ミッシェル
    イエスタディ
    ヒア・ゼア・アンド・エヴリウェア
    ヘイ・ジュード
    ロンドンデリーの歌
  2. ディアンス:サウダージ 第3番

これで本編全ての演奏が終了。
何度も深々と頭を下げて喝采を浴びた後、ステージ裏に下がっていきました。
すぐに客席からは、当然アンコールを求める大きな拍手。

 Stage Act 3〜Encore

この時は、けっこう早く出てきたんですね。
「早ッ」と思ってしまったもん。

村治「ありがとうございます。今回のツアーで(アンコールの)拍手が揃ったのは初めてだったので嬉しいです(笑)ありがとうございました。
アンコールには…今までは、名曲、編曲が多かったので、ここでひとつ、「アルハンブラ宮殿の思い出」を」

盛大な拍手でした。
みんな、その曲を知ってての拍手なのか?それとも、単にアンコールへの拍手だったのか?(笑)
僕は恥ずかしながら、クラシックギターの代表曲というのをあまり(というか、ほとんど)知らないので
この曲も知らなかったんですが、かなり有名な曲らしいですね。
“クラシックギターといえば「アルハンブラの思い出」”というぐらい有名らしいです。

実際に聞いてみると、なんとなく聞いたことがあるような、ないような…
だから、僕の知識なんてその程度なんですって(笑)

(ENCORE)

  1. タレガ:アルハンブラ宮殿の思い出

そしてまた、例のように礼をして(ここ、笑うトコロ)下がっていきました。

客席は、さらにアンコールを求める拍手。

すると、またすぐに登場してきたんですね。
「まだあるのか?!」と思いきや、同じくステージ袖から出てきた女性職員?から
花束を受け取っただけで、また下がっていって。
こういうフェイク(?)は本編中にも何度かあって、演奏がいつ始まるのかヤキモキしました。
その間、観客はずっと拍手だからね(笑)
拍手と賞賛を浴びるためだけに出てくるのかな、あれは?

今度は少し時間を置いてからの登場でした。
村治「ノイマン作曲の「愛のワルツ」を」
ここまでのトーク(アンコールを含めて)は全てマイクを使ってのものだったんですが
この一言だけはマイクなしの生声でした。
なんか、こういうのって嬉しいんですよね。
昔見たあるライブビデオで、ある女性歌手が、超満員の大観衆に向かって
マイクなしの生声で歌っていたのを見て驚いたことがあります。
そのパワーというか、伝えたい気持ちみたいなものが画面を通して感じられました。
この瞬間が、まさにそういう感じだったんですよね。

短い曲でしたが、最後にふさわしい、素晴らしい演奏でした。

そして今度はギターを持たずに登場。
最後にもう一度、この夜何度目かわからない一礼をして、笑顔で喝采を浴びていました。

 After Act

初めてで戸惑う部分もあったけど、それが逆に新鮮でもあったりして。
とても楽しくて、素晴らしい演奏会でした。

ただ一言だけ付け加えるとすれば、トークがもっとあってもいいかな。
というか、MCの内容はほとんどが曲の紹介だったしね。
富山がどうとか、そういうことを語ってほしかったね、やっぱり。
来てすぐにトンボ帰りしちゃうのかもしれないけど。

それにしても、ギターを弾いている姿は、本当にウットリするほど綺麗でした。
背景のホールの壁もレンガ造りでいい雰囲気だったし、それだけでまるで
1枚の肖像画みたいだったもんなぁ。
ビジュアル的に美しいから、なおさらギターがよく聞こえるんだろうなぁ。
もちろん、演奏も素晴らしいんですけどね。

まだまだ若いし、これからも末永く活躍していってくれるアーティストでしょうね。
また富山に来てくれないかな。

 Set List

2004年10月22日 宇奈月国際会館セレネ

  1. デュアーテ:イギリス民謡組曲
  2. 武満徹(編曲):ギターのための12の歌より
    オーバー・ザ・レインボウ
  3. リード&メイスン/武満徹(編曲):ラスト・ワルツ
  4. タレガ:アラビア奇想曲
  5. タレガ(編曲):ヴェニスの謝肉祭による変奏曲

(20分間の休憩)

  1. テオドラキス:エピタフィオスより
    不死の水
    わが星は消えて
    5月の日
    きみは窓辺にたたずんでいた
  2. 武満徹(編曲):ギターのための12の歌より
    ミッシェル
    イエスタディ
    ヒア・ゼア・アンド・エヴリウェア
    ヘイ・ジュード
    ロンドンデリーの歌
  3. ディアンス:サウダージ 第3番

(ENCORE)

  1. タレガ:アルハンブラ宮殿の思い出
  2. ノイマン:愛のワルツ

この夜のお気に入り
「きみは窓辺にたたずんでいた」、「ロンドンデリーの歌」、「愛のワルツ」

 Story of The Platters

村治佳織・旧オフィシャル・サイト

村治佳織 ドゥルシネア
(所属事務所ムジカキアラによる村治佳織さんの新公式サイト)