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1999/7/24(土) キロロリゾート
REPORTER/さにー
3箇所で開催される夏の野外コンサート、その初日。
どんな曲が演奏されるのか?どんな構成なのか?
僕自身初めての野外コンサートでもあり、期待に膨らんだ1日でもあり、
天候不順やハイジャック事件の余波などの不安にハラハラした1日でもありました。

(コンサート前夜)
僕にとって初めての野外コンサート。市販されているビデオで、もはや伝説と化している「渚園」の映像などを見るたびに羨ましく思っていた。晴れた空、広がる芝生、大観衆のみつめる派手なステージ。すべてが憧れだった。
そして、ついに参加できた野外コンサート。どんな曲をやるんだろう?尽きることのない期待。
しかし、当日を迎えるには単純な期待だけではなくなった。天候不順。当日は雨、翌日は晴れという予報。延期するのではないだろうか?という不安。一応延期も考えて宿はとってあったのだが、当日に行われるにこしたことはない。
そして、前日に起きたハイジャック事件。コンサートスタッフ、バンドのメンバー、関東方面から来る友人も何人か乗っていた。僕自身、飛行機で札幌に着いた頃にそのニュースを耳にした。時間がたつにつれて、だんだん詳しいことがわかってくる。一歩間違えばコンサートが行われなかったのかもしれない。そう考えれば、気楽に話せる話題ではないのだけれど・・・。
犠牲となった長島機長のご冥福をお祈りします。
(LET SUMMER ROCK! '99−Before)
開場は13時。整理番号は400番台だったが、早めに行くにこしたことはないと思い、小樽経由で路線バスに乗り、10時頃に会場に着いた。専用のシャトルバスではないのに、バスの中はもう省吾色一色。誰もが、明らかにコンサートに行く人たちだなという感じ。会場に着くと、早くも長蛇の列が。整理番号の意義を問うべく係員をつかまえてみると・・・
「ただいま検討中です」
という答えが帰ってきた。整理番号の通りなら並ぶ必要はないし、番号が関係ないのなら並ぶ必要もある。どうなっているのかハッキリしない対応。

開場を待つファンの列。木陰にみえるのがステージです。
結局、13時になってから
「整理番号順に入場してください」
というアナウンス。いちばん先頭の人は大阪から来た人で、朝5時から並んでいたとのこと。整理番号は1000番台。まったくの並び損だったわけだ。炎天下の下、何時間も待たされた結果がそれじゃ、あまりにもひどいと思った。そうならそうと早く言ってくれればいいのに・・・。イベンター(ウェス)の対応のマズさに閉口してしまった。しかも、開場にも手間取っていたし。ゴタゴタ続きのスタートだった。
僕たちは3人でみたのだが、前の2人が300番台の番号で、僕もそこでみられたのでかなり前の方だった。野外の話を聴くたびに
「ほとんど米粒で、肉眼ではみえないよ」
と聞かされていたので、驚きだった。ホールにしてみれば、7列目くらいだったろうか。ものすごく前という感じ。もちろんステージが、ハッキリとみえる。

姿をあらわしたステージ。実際にはこの両脇に巨大なスクリーンがあります。
ステージは全体に黒一色で、シンプルな感じ。8基の巨大な証明タワーが野外らしい。ステージ両脇に巨大なオーロラビジョンが配され、終始大写しの省吾を見ることができた。「でっぱり」は渚園ほどハッキリしたものはなく、前にちょっと段差がある程度。雨よけのビニールが全体にかけられていた。後ろを見ると広大な芝生。真ん中に巨大な塔がたっていて、テレビカメラが設置されている。コンサートの模様は多数のカメラで撮影されており、オーロラビジョンにリアルタイムで映し出されていたが、これらはビデオにされて発売されるという話もあるらしい。楽しみだ。
13時半頃に入場して、開演時間までの間は、グッズを買いに行ったり、物を食べたり、トイレに行ったり。サブステージが後方に設置されていて、そこで4組ほどが前座としてライブをしていた。全然覚えてないけど(笑)
あと、14時半頃にものすごいスコールがあった。大雨。入場の際にもらったビニール袋が、意外な活躍。だけど、荷物を守るのが精一杯で僕自身はびしょ濡れになってしまった。その後はまた晴れたり曇ったりの天気。結局雨はそれが最後で、コンサート終了まではもちこたえた。さすがは晴れ男・省吾。
(LET SUMMER ROCK! '99−Concert)
開演は17時45分。ステージ両脇からメンバーがバラバラと登場。ヘリの爆音がSEで流れ続けている。
そしていよいよ、省吾が登場!1曲目は何だろう?!
「A NEW STYLE WAR」
もちろん、初めて聴く曲。1曲目からもう大興奮だ!
もう、カッコイイとしか言えない。しっかりと肉眼で見える省吾。楽しそうなメンバー。曇りがちだけど、雨のあがった空。ファンで埋め尽くされた芝生。期待の爆発したみんなの笑顔。もう、最高だ!野外コンサート、万歳って感じ。
そして、たてつづけに・・・
「BIG BOY BLUES」
「八月の歌」
もう、興奮でわけがわからなくなっていた(笑)
省吾はブルージーンズに白いジャケット。渚園のイメージそのままだ。この人、本当に46歳なんだろうか?なんでこんなにカッコイイんだろう?誰か教えてくれ!って感じだった。
「向こうの空を見てごらん。青空なんだよね。だけど、こっちの空は曇りなんだ。ということは、この短い夜の旅がどういう方向に向かうかわからないけど、1999年7の月でいろいろ心配したけど、友達や家族や子供連れて浜田省吾のコンサートに行ってまあ、楽しかったよな…。って言えるように。俺達が主役じゃなく、みんな一人一人が主役だからみんなが楽しんでもらえたらいいなと思います。どうぞ最後までよろしく!」
「モノクロームの虹」
「勝利への道」
「街角の天使」
「さよならゲーム」
ノリのいいナンバーが続き、コンサートは一気に加速していく。
「この会場は、キロロという場所で皆さん、ほとんどの人が北海道の人だから知ってると思いますが、キロロというのはアイヌの言葉で「心〜ハート〜」という意味ということを知りました。たくさんの伝説がこの辺にはあるようです。先住民のアイヌの人達の神々や祖先の人達の迷惑にならないようにみんなで楽しみたいと思います。」
後日談だが、この野外コンサートは、それぞれのスタイルにあわせて楽しむというコンセプトのもとに開催された。いろいろと話をきくたびに、その目的と省吾の目指したものがほとんど達成されたように思う。野外コンサートの理想型。その実現が省吾と、メンバーと、スタッフと、僕たちファンによって達せられたという充足感があった。幾つか残念に思うこと(入場とか)もあったが、三つの公演のうちで、この夜のキロロがいちばん素晴らしいコンサートだったと思えた。
「7月のこのシーズンは梅雨を知らない北海道の気候をを信じてたのに、なぜかありえない日本海側の低気圧が上がってくるという前代未聞のことが起きて、どうなるのかと思って毎日、毎日天気予報を見てたんですけど、昨日の朝、天気予報を見ていたらいきなりニュース速報が流れて"ANAハイジャックされる" 「へえー、サンフランシスコ便?」とか思っていたら、"千歳便"「あれ?何便だろうか?」と思っていたら"ANA61便"スタッフの行程表を見ると全員がそこに乗っているではありませんか!メンバーのほとんどとスタッフで30名近くが飛行機に乗っていたんですが、みんながここに着いたのは夜の10時前。で、実はリハーサルも全くできなかったのです。ですから、僕達は今、いきなりこのステージに上がっているんで少しバタバタするところをみなさんに見せるかもしれなせんが、それはLIVEにはつきものということで(笑)。台風とハイジャックの後ですから何が起きても怖くないという感じがするね!(笑)。」
「君がいるところがMy sweet home」
リハーサルなしのぶっつけ本番だったせいか、いつもは変えて歌う歌詞もそのままだった。「君のいる北海道」って、歌いにくいけど。「キロロ」とか歌うのかなぁと思ってたので、ちょっと期待がはずれた気分。
この曲でひと区切りついて、あとはスローなナンバーがつづく。省吾も椅子に座って落着いた感じ。
「ねぇみんな、寒くない?待っててあげるから、何か着なよ・・・でも、何も着ないんだよなぁ。誰も着てない。だけど俺は着るよ(笑)」
そう言って一度脱いでいた白いジャケットを着ていました。
「今日は朝から雨が降って大変だったね。俺はホテルの窓から、みんなが並んでたのを見てたんだよ。朝の9時から。ちょうどホテルの窓から長蛇の列が見えてね。暑くて大変だった?入場したらこんどは、スコールで。濡れなかった?でも今はこんなに晴れて・・・良かったです。このコンサートが祝福されているのかなって感じがします」
省吾はこんなに細かい気配りをしてくれる。そこがまたすごい。
「AMERICA」
「ラストショー」
ステージ中央の省吾、それを囲むようにストリングスの4人。両脇にアコーディオンの福田さん、古村さん、町支さんがいる。とてもいい感じの演奏だ。スタートの頃のバリバリのステージもいいけど、こういうゆったりした感じもまたいい。客席はみんな芝生に座っている。このあたりからオーロラビジョンに移される映像がセピア色がかっていて、すごくかっこよかった。目の前で演奏している光景なんだけど、なんかそれだけで映画みたいだった。とにかく、かっこいい。
「堅い話になっちゃうんだけど。このステージをやることができたのは、命をかけて職務を全うした長島機長がいてくれたからで。みんなで彼に、1分間の黙祷を捧げたいと思います・・・」
みんな居住まいをただして正座をして、黙祷を捧げた。コンサートで、黙祷。演出といわれてしまうのかもしれないけど、その場にいた僕たちにとって、それはとても熱い時間だった。みんながそうしたいと心から思えたのではないだろうか。心からの感謝と、心無いハイジャック犯への怒り。機長の冥福を、心から祈りたかった。長い冥福。その時間の終焉に、オルガンの音が静かにすべりこんできた。
「青の時間」
涙がでた。涙が、止まらなかった。この日のコンサートで最も良かった曲をあげれば、僕は真っ先にこの曲を挙げるだろう。大好きなアルバム「誰がために鐘は鳴る」からの曲。初めて聞けた曲。だけど、そんなことは抜きにして、感動した。この日のコンサートに臨むまでの色々なことが頭をよぎって、心が震えるほど素晴らしい演奏だった。日のおちかけた広い空と、北海道の広大な大地と、それぞれの人の心に染み入る歌声だったのではないだろうか。しばらく涙が止まらなかった。
「サイドシートの影」
これも初めて聞けた曲だ。大好きな曲で、とても聞きたかった曲だ。この2曲の僕のイメージは夕暮れそのもので、この時間帯にピッタリあうものだった。いつのコンサートでも思うことだが、省吾の音楽に出会えて本当に良かったと思った。
「今日、北海道から来た人ってどのくらいなのかな?」
そんな声ではじまった恒例の拍手の調査。他の土地から来た人も聞いた。年齢調査はなかったと思う。
「今日、恋人と来たって人は?」
その調査では結婚している人、恋人がいる人を聞いた。
「ということは、今日集まっている人たちは、恋人のいない男女が多いってわけだね。隣の女性に声をかけてみたらどう?『この虫除けスプレー、使わない?』とかさ(笑)もしくは、『帰りに俺の車にのっていかない?』とかさ」
客席の女性「乗っていく!」
「俺?俺のはだめだよ。俺にはもう妻がいるし(笑)今日この会場で、ロマンスが生まれるかもしれないね」
そんなMCからはじまった2曲。
「君に会うまでは」
「片想い」
「ただいまステージにかわいい女の子があがってきています。4歳くらいで、赤いバンダナをしています・・・」
客席「えー!」
バックでは小島さんが楽しそうに「迷子の小猫ちゃん」を弾いている。
「冗談だよ(笑)後ろの方のファミリーゾーンの方々、楽しんでますか?他に結婚してる人達は、子供をあずけてきたのかな?」
「星の指輪」
演奏終了後、客席から「後ろを見て!」という声がかかる。後ろをふりかえる省吾。照明タワーの合間に、ぼんやりとしたものだけど夕陽が見える。しばらく見とれている省吾。
「・・・綺麗だね」
こんなふうに景色を見られるなんて、野外コンサートならではだなぁと思った。渚園の夕陽にはかなわないかもしれないけど、しっかりと心に焼き付く夕陽でした。
「きっとみんなが素晴らしいからこの夕陽がみられたんだね」
「青空のゆくえ」
「愛しい人へ」
演奏終了後、メンバーがバックステージに戻っていく。
「このコンサートで、僕が最も楽しみにしていたコーナーのひとつです」
ストリングスの4人による、ミニ・クラシック・コンサート。バッハ、ハイドン、ヴィヴァルディの3曲。ステージ上の彼女たちがいつにもましてすごい人たちなんだなぁと思えた(ちなみにこの時、省吾もステージ裏でした)。風が強く、譜面が飛ばされたりしながらも壮麗な演奏だった。演奏が終って彼女たちもステージサイドにさがり、オーロラビジョンにムービーが映し出された。内容はよく覚えていないけれど、貧困に苦しむ国々の様子だとか、内戦の続く国々とか、社会性の強いものだったように思う。BGMに「我が心のマリア(Instrumental)」が流れていた。このクラシック・コンサートとムービーの時に席をたつ人が多かった。トイレや息抜きなんだろうと思ったけど、感じのいいものではなかった。空はもう真っ暗になっていて、次の曲(突然のスタートだった)がはじまったときに自分の席に戻ろうとウロウロしている人が多かったためだ。
「詩人の鐘」
シングル・ヴァージョン。いつものコンサートの後半部分のように、突然のスタートだった。闇を照らすサーチライト。鼓動のように明滅を繰り返す照明タワー。夜を切り裂くギターの音。ただただ、カッコよかった。すっかり夜になってしまったキロロリゾート。照明のパワーがついに発揮されたという感じだ。全曲を通していちばん照明がかっこよかったのがこの曲だった。
「DANCE」
「境界線上のアリア」
「MONEY」
「J.BOY」
いつものコンサートのように進行。だけど、いつもとは違う夜空と照明。ロック・コンサートという感じでかっこよかった。おぼろに見える月が、またいい演出効果だった。
「愛の世代の前に」
「家路」
まさかという2曲。僕にとっては伝説の世代とも言えるような曲たちだ。これを聞いて興奮しないわけがない(笑)歓喜の叫びが会場中にうずまいていた。秋からのツアーでも演奏されることを期待。超感動モノでした。というか、興奮しすぎてよく覚えていないんです(笑)
(LET SUMMER ROCK! '99−Encore1)
「二人の夏」
やるつもりだとは聞いていたけど、実際に耳にしたときは嬉しかった。省吾はじめ、メンバーはほとんどアカペラ状態。ビデオの「こんな夜は I MISS YOU」みたいな感じっていえばわかりやすいかな?弦が微かに鳴ってたかな?
「今夜こそ」
省吾はこの曲が好きなんだなぁと思った。
「恋は魔法さ」
初めて聞けた曲。すごく嬉しかった。最後のところで「北海道ガール」と歌ってたけど・・・ちょっと苦しい感じだった(笑)
「MAINSTREET」
僕の大好きな曲。この日の演奏も疾走感にあふれていて最高だった。一言では言えない喜びがあったね(笑)
(LET SUMMER ROCK! '99−Encore2)
「SWEET LITTLE DARLIN'」
「ON THE ROAD」
最高。あまりよく覚えてないです。記憶、ぶっとんでます(笑)
(LET SUMMER ROCK! '99−Encore3)
「ラスト・ダンス」
「もう1曲、何か一緒に歌おうか」
そう言って始まったギター1本による弾き語りの曲。この野外コンサートの最後に相応しい曲だと思った。僕はもちろん行っていないけど、1982年、17年前に行われた日本武道館でのコンサートの最後もこの曲だった。それだけ思い入れがある曲なのだろう。そして、曲が全く年をとらないことが驚きだ。20年ちかく前の曲でも、新鮮な感動がある。とても素敵なことだし、すごいことだと思う。浜田省吾というアーティストの持つマジックのすごさを、あらためて垣間見た気がした。
胸があつくなった。会場中が大合唱。僕はただ、静かに聞いていた。終わってしまうのが惜しい、そんな夜だった。もっともっと歌ってほしい。そう思わずにはいられなかった。
「I LOVE YOU!」
最後にそう言ってくれた省吾。花火が夜空に大輪の華を描いた。爽やかな感動をのこして真夏の夜の夢は、終わった。