
| 重松 清 | (1963.3.6−) |
| しげまつ・きよし 1963(昭和38年)、岡山県久米郡久米町(現・津山市)生まれ。早稲田大学教育学部卒。 出版社勤務を経て、フリーライターに。 小説で取り上げられることの少なかった、学校でのいじめや不登校、家庭崩壊など、 現代の社会問題・教育問題・家庭問題を浮き彫りにして一躍注目を浴びるようになる。 1991年の『ビフォア・ラン』で作家デビュー。 1999年の『ナイフ』で第14回坪田譲治文学賞、『エイジ』で第12回山本周五郎賞を受賞。 2000年、『ビタミンF』で直木賞(2000年下半期)を受賞。 『疾走』、『流星ワゴン』、『季節風』シリーズなど著書多数。 |
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*読んだ著書*
その日のまえに
(2005年刊/文芸春秋)
〔概要〕
僕たちは「その日」に向かって生きてきた。
昨日までの、そして、明日からも続くはずの毎日を不意に断ち切る家族の死。
消えゆく命を前にして、いったい何ができるのだろうか…。
死にゆく妻を静かに見送る夫と子らを中心に、それぞれのなかにある生と死、
そして毎日の日常のなかにある幸せの意味を見つめる連作短編集。
〔感想〕
どのお話も、とても悲しく切ない物語ばかりです。命の残り時間が告げられたとき、人はどんなことを思うのか。
残される人たちは、どんなことを感じるのか。そういうことを丁寧に描いています。
全編に通じて、諦観のようなものが漂っているのがちょっとつらく感じました。
身近な家族の死に際したときに、今まで見えていたものの色合いが彩りを変えていく。
そういう経験は僕にもあります。いろんなことを悩んだり、思ったりしたけど、それを言葉にするのは憚られる。
感情が行き詰ってしまったとき、言葉は意味をなさなくなる。
でもそれをあえて言葉にすると、この物語のようになるのかもしれませんね。
短編ですが、最期にそれぞれのストーリーが絡み合うという構成がよかったです。
評価/★★★☆☆
流星ワゴン
(2005年刊/講談社)
〔概要〕
死んじゃってもいいかなあ、もう…。
38歳・秋。その夜、永田一雄は、5年前に交通事故死した父子の乗る不思議なワゴンに拾われた。
そして、自分と同い歳の父親に出逢った。
時空を超えてワゴンがめぐる、人生の岐路になった場所への旅。
やり直しは、叶えられるのか―?
〔感想〕
荒唐無稽なファンタジーではあるけど、すごく面白かったです。
冒頭から自殺を仄めかすどんよりしたもので、物語全体を覆う、重苦しい雲のような雰囲気は好き嫌いがあるかもしれないけど。
本当に絶望したときに、人はそこからどう這い上がるのか。
もし、あの場所、あの時から「やり直せる」としたら…?
登場人物たちがそれぞれ、すごく人間臭いです。
作者や読者の思うようには動いてくれないし、救いようのない描写もいくつかあるけど…
それも含めて「人生ってそんなものだよね」と思わせてくれたのは、橋本さんの穏やかさなのかも。
誰もが後悔を抱えながら、人生を歩いている。くじけそうになっても、「終わりたく」なっても、決して諦めてはいけない。
今その瞬間が、もしかしたら「やり直し」の瞬間なのかもしれないから。
評価/★★★★☆