文藝歴譜タイトル

宮部 みゆき (1960.12.23−)
みやべ・みゆき、本名は矢部みゆき(やべ・みゆき)。
1960(昭和35)年、東京都江東区生まれ。東京都立墨田川高等学校卒業。
1987年、『我らが隣人の犯罪』でオール讀物推理小説新人賞を受賞。
1989(平成元)年、『魔術はささやく』で日本推理サスペンス大賞を受賞。
1992年、『龍は眠る』で日本推理作家協会賞、『本所深川ふしぎ草紙』で吉川英治文学新人賞を受賞。
1993年、『火車』で山本周五郎賞を受賞。
1997年、『蒲生邸事件』で日本SF大賞を受賞。
1999年、『理由』で直木賞を受賞した。

*読んだ著書*


魔術はささやく
(1989年刊/新潮文庫)

それぞれは、社会面のありふれた記事だった。一人めはマンションの屋上から飛び降りた。二人めは地下鉄に飛び込んだ。そして三人めはタクシーの前に。相互の関係などまったく想像もできないように仕組まれた三つの死。さらに魔の手は四人めに伸びていた…。だが、逮捕されたタクシー運転手の甥、守は、知らず知らず事件の真相に迫っていたのだ。

評価/★★★★☆


火車
(1992年刊/新潮文庫)

休職中の刑事、本間俊介は遠縁の男性に頼まれて彼の婚約者、関根彰子の行方を捜すことになった。自らの意思で失踪、しかも徹底的に足取りを消して――なぜ彰子はそこまでして自分の存在を消さねばならなかったのか? いったい彼女は何者なのか?謎を解く鍵は、カード社会の犠牲ともいうべき自己破産者の凄惨な人生に隠されていた。

評価/★★★☆☆


蒲生邸事件
(1996年刊/文春文庫)

予備校受験のために上京した受験生・孝史は、2月26日未明、ホテル火災に見舞われた。間一髪で、時間旅行の能力を持つ男に救助されたが、そこはなんと昭和11年。雪降りしきる帝都・東京では、いままさに2・26事件が起きようとしていた―。

評価/★★★★☆


模倣犯(上)
(2001年刊/小学館)

〔概要〕
公園のゴミ箱から発見された女性の右腕。それは「人間狩り」という快楽に憑かれた犯人からの宣戦布告だった。比類なき知能犯の狂気に立ち向かう第一発見者の少年と、孫娘を殺された老人、二人を待ち受ける運命とは…?

〔感想〕
読み終わっての第一感想。「…長ッ(笑)」とにかくブ厚い。それだけに内容も濃い。普通、物語(小説や映画)では事件が起きると、発生から時系列に、現象を中心に話が進んでいく。そこに、人物の動向や感情が絡んでいくもの。ところがこの作品では、最初に事件のひととおりの概要が示され、そこから延々と続くのは、登場人物たちの一人一人の側面。多様な視点から、事件が見つめなおされていく。悪く言えばテンポが遅いとも思えるけど、良く言えば事件のすべてを味わい尽くせる、まるで監督のような視点なんだよね。それが新鮮でした。でも、事件はまだ解決していない。七百数十ページも読んで、まだ半分でしかない(笑)

評価/★★★★☆


模倣犯(下)
(2001年刊/小学館)

〔感想〕
事件の後半となる下巻は、犯人が判明してからの物語。それだけに、読んでいる側は事件の全貌を知り得ているのに、なかなか真犯人にたどり着けない警察や登場人物たちがじれったい。最後は納得の結末でよかった。最後の最後で、初めて心を解放して嗚咽する有馬さんのおじいさんに胸が熱くなった。たくさんの登場人物たちがそれぞれの結末を迎えた後でどうなっていくのか。それも気がかりだけど…。とても面白く、読み応えのあるシリーズでした。

評価/★★★★☆


スナーク狩り
(1992年刊/光文社)

〔概要〕
織口邦男が勤める釣具店に、関沼慶子は鉛版を買いに来た。
不審に思った織口は、彼女が銃を持っていることを知り、ある計画を思い付く。
だがそのためには今晩中に銃を盗まなければならない。
が、その晩、彼女は元恋人・国分慎介の結婚式に散弾銃を持って現われた。
新郎新婦が雛壇に戻る瞬間を狙って…。
スナークとは何か…!?人間の真実を抉る傑作サスペンス。

〔感想〕
ボチボチかな。さらっと読めたけど、あまり深さはないような気がしたかも。登場人物が多い割には、それぞれのエピソードが分散してしまっているのも残念。

評価/★★★☆☆


レベル7
(1990年刊/新潮社)

〔概要〕
レベル7まで行ったら戻れない―。謎の言葉を残して失踪した女子高生。記憶を全て失って目覚めた若い男女の腕に浮かび上がった「Level 7」の文字。少女の行方を探すカウンセラーと、自分たちが何者なのかを調べる二人。二つの追跡行はやがて交錯し、思いもかけない凶悪な殺人事件へと導いていく…。
ツイストに次ぐツイスト、緊迫の四日間。気鋭のミステリー作家が放つ力作長編。

〔感想〕
それなり。学生時代、友達が絶賛してたけど、そこまで「すごく面白い」とは思わなかった。
とにかく残念なのが、最終盤。そこまでに色々な伏線があって、それらが交錯し、謎が一気に解けようという時に、それまで維持していたスピード感、緊迫感は一気に霧散してしまっている。とにかく最後が説明くさい。登場人物の口とはいえ「あれはああだった、これはこうだった」と説明されても、白けてしまうだけ。このあたりにもうちょっと工夫が欲しかった。

評価/★★★☆☆


誰か
(2003年刊/実業之日本社)

〔概要〕
財閥会長の運転手・梶田が自転車に轢き逃げされて命を落とした。
広報室で働く編集者・杉村三郎は、義父である会長から、遺された娘二人の相談相手に指名される。
妹の梨子が父親の思い出を本にして、犯人を見つけるきっかけにしたいというのだ。しかし姉の聡美は出版に反対している。
聡美は三郎に、幼い頃の“誘拐”事件と、父の死に対する疑念を打ち明けるが、妹には内緒にしてほしいと訴えた。
姉妹の相反する思いに突き動かされるように、梶田の人生をたどり直す三郎だったが…。

〔感想〕
中盤まではよかったけど、最後の展開がちょっと…。
ごく普通のサラリーマンが素人探偵になって事件の真相に迫るという構図はこのテの小説の王道だし
読者も主人公と同じ視点に立って安心して楽しめるんだけど…
真相が姉妹の痴話喧嘩に帰結してしまうというオチはちょっと期待はずれだったかな。

評価/★★★☆☆


楽園(上)
(2007年刊/文藝春秋)

〔概要〕
「模倣犯」事件から9年が経った。事件のショックから立ち直れずにいるフリーライター・前畑滋子の前に、荻谷敏子という女性が現れる。それは、12歳で事故死した息子に関する不思議な依頼だった。その少年は、16年間隠蔽されてきた少女殺害事件を、発覚前に「絵」の形で予知していたというのだが…。

〔感想〕
連続殺人事件を描いた『模倣犯』の続編的作品。といっても、話がそのまま続いているというよりも、主要登場人物の1人、前畑滋子の「その後」を描いた、いわゆる「スピンオフ」的な作品。事件の傷跡を心に深く負った彼女は、社会的重大事件に関わることができなくなっており、今作はそこからの復活を描いていくもの。物事にナーバスになっていて、慎重に事件にアプローチしていこうとする彼女の姿がよく描けていると思う。前作ほどの波乱な感じの起伏はないので、評価はちょっと控えめで。下巻でどうなっていくのかが楽しみ。

評価/★★★☆☆


楽園(下)
(2007年刊/文藝春秋)

〔概要〕
土井崎夫妻がなぜ、長女・茜を殺さねばならなかったのかを調べていた滋子は、夫妻が娘を殺害後、何者かによって脅迫されていたのではないか?と推理する。さらには茜と当時付き合っていた男の存在が浮かび上がる。新たなる拉致事件も勃発し、様々な事実がやがて一つの大きな奔流となって、物語は驚愕の結末を迎える。

〔感想〕
正直言って、ボチボチかな。可も不可もなく、という感じ。
『模倣犯』の続編と思うから、ハードルが高くなってしまうのかな?
登場人物以外、内容的にもあまり被る部分はなく、独立した別の作品です。
物語の主筋が、超能力少年の冒頭部からだんだん離れていってしまって、大きく蛇行していたのに
最後に辻褄が合わせられてしまった、という気がしました。
魅力的な登場人物が何人か出てきていたのに、なんだかこじんまりとした印象で残念です。

評価/★★★☆☆


小暮写眞館
(2010年刊/講談社)

〔概要〕
結婚20周年を機に花菱秀夫・京子夫妻が購入した念願のマイホームは、寂れた商店街の古い写真館(店舗付き住宅)だった。しかも、幽霊の噂付き。その「小暮写眞館」での新生活が始まったばかりの花菱家の長男・高校生の花ちゃん(花菱英一)は、ある日、謎の女子高生から1枚の不思議な写真を手渡される。彼の、心霊写真バスターとしての日々が始まるのだった…。
著者3年ぶりの現代エンターテインメント。

第1話 小暮写眞館
第2話 世界の縁側
第3話 カモメの名前
第4話 鉄路の春

〔感想〕
4話からなるオムニバス長編。率直に言って、「まぁまぁかな」という評価。
とにかく、分厚い!720ページという超大作なので、持ち運びも大変(笑)
内容的には、主人公の“花ちゃん”の初恋と青春を描いたもの。
ボリュームのわりには、あまり大したことがないかなぁ、というのが率直な感想です。
まぁ、星空の下、寝袋で野宿はしたくなりますけどね(笑)

評価/★★★☆☆


関連サイト
大極宮(公式サイト)