
| 乾 くるみ | (1963.10.30−) |
| いぬい・くるみ(男性)、本名・市川尚吾。 1963(昭和38)年、静岡県生まれ。静岡大学理学部数学科卒。 1998年に『Jの神話』で第4回メフィスト賞を受賞しデビュー。 別名義である市川尚吾(本名)名義では評論活動を行っている。 |
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*読んだ著書*
イニシエーション・ラブ
(2004年刊/原書房)
〔概要〕
大学四年の「僕」が彼女に出会ったのは代打出場の合コンの席だった。
やがてふたりは恋に落ち、夏休みやクリスマスをともに過ごした。
卒業後、東京の大企業を蹴って地元静岡の会社に就職した「僕」。
ところが東京勤務を命じられてしまい、いつしかふたりの心に隙間が生じてしまう…。
〔感想〕
読んでいる間は、わりと普通の恋愛小説と思って読み終わりました。
普通というよりむしろ、素人っぽいありふれた文章だとすら思いました。
読み終わった時点では、この作品の秘密がまだよく理解できなくて…
巻末の「解説」と「用語辞典」を読み、あらためてその真相が理解できました。
そうなってみると、なかなかすごいストーリーだなぁと驚き…
ネタバレになるので詳しいことは書けないけど、伏線がいろいろあって面白いです。
作中の時代が1980年代なので、なかなか理解が難しいところもありますが…。
批評によくあるように「もう一度読みたくなる」本です。
評価/★★★★☆
セカンド・ラブ
(2010年刊/文藝春秋)
〔概要〕
1983年元旦、僕は、会社の先輩から誘われたスキー旅行で、春香と出会った。
やがて付き合い始めた僕たちはとても幸せだった。春香とそっくりな女、美奈子が現れるまでは…。
清楚な春香と大胆な美奈子、対照的な二人の間で揺れる心。
『イニシエーション・ラブ』に続く二度読み必至、驚愕の「恋愛ミステリー」。
〔感想〕
前作の『イニシエーション・ラブ』に比べると、正直ボチボチだったかな。
(「前作」とは言っても全く別の物語ですが)
初見では「最後の秘密」がよくわからなかったんだけど、ネットで書評などを読んで納得。
(ネタバレ→)まさか『シックス・センス』的オチだったとは…。
そういう観点でパラパラと読み返してみると、なるほど、冒頭のプロローグもそういう意味だったのか、と。
初めての恋に主人公が振り回され、翻弄される様子は前作と同じだけど、恋にひたむきだった前作の主人公に対して
今作の主人公は独善的で、盲目的なような気がして…。
ちょっと思い込みが強すぎて、感情移入できなかったというのが大きいかもしれないなぁ。
「フラれて自殺なんてバカじゃないのか」という意味の発言があるわりには、主人公が実は
つよくはなく、弱い人間だったということだったのかなぁ。
評価/★★★☆☆