文藝歴譜タイトル

市川 拓司 (1962.10.7−)
いちかわ・たくじ
1962(昭和37)年、東京都生まれ。獨協大学卒業後、出版社に勤務。
バイクで日本一周の旅に出た後、1997年からインターネット上で小説を発表。
2002年の『Separation』で作家デビュー。
2作目となった2003年の『いま、会いにゆきます』は映画化され、100万部を突破する大ヒットを記録した。

*読んだ著書*


そのときは彼によろしく
(2004年刊/小学館)

〔概要〕
水草の好きな智史は、絵の好きな祐司、不思議な少女・花梨と13歳の時に出会い、3人はひとときだが満ち足りた時を過ごす。
やがて大人になり、小さなアクアショップを営む智史のもとに、1人の美しい女性がアルバイトにやってくる。
やがて2人の間にあった不思議な縁が、彼の人生を動かし始める…。

〔感想〕
ファンタジックな青春小説でした。テーマは「初恋」で、映画『ノッティングヒルの恋人』へのオマージュでもあるらしいです。
文中の表現はどれも淡い色彩に満ちていて、セピア色になりかけた青春時代、初恋の風景を思い出させてくれます。
ただ、そんなに引っ張られる力はないかな、というのも正直なところ。淡々と進み、淡々と終わっていった感じ。
最後のエピローグは面白かったけど、とってつけたような感じがしなくもない。

評価/★★★☆☆


恋愛冩眞 ― もうひとつの物語
(2003年刊/小学館)

〔概要〕
カメラマン志望の大学生・誠人は、個性的でとても謎めいた女の子・静流と知り合う。
誠人は女の子にかなりの奥手だったが、静流とは自然にうちとけるようになる。
やがて誠人は静流に思いを告げられるが、誠人にはみゆきという憧れの女性がいて、
その思いを受け取ることはできなかった。「片思いの惑星」に住み、それぞれに不器用な日々を送る3人。
やがて彼らは卒業の日を迎えるのだが…。
映画『恋愛寫眞 Collage of Our Life』(2003年・日本)へのオマージュとして書き下ろしたラブ・ストーリーの奇蹟。

〔感想〕
なかなか面白かったです。
誠人と静流が不器用に愛を育てていく様子は少しじれったくもあるけど、僕自身も不器用な方なので、
かなり誠人に感情移入して読んでしまいました。
最後になって物語は急に加速していくんだけど、あのラストはちょっと切なすぎるなぁと思う。
途中の伏線でなんとなく予想はできたんだけど、そりゃないよ…っていう。
それだけに、最後の個展のシーンはよかった。
登場人物と共に歩んだ物語の中の時間が一気にフラッシュバックして。
出会いからのひとつひとつのシーンが、写真で色鮮やかに、より深い意味を持って語られていくというね。
写真で綴られる愛の奇跡。僕もカメラ持ちたくなったね(笑)
広末涼子、松田龍平の主演で映画になっていますが、それとは異なる内容のようです。
映画はまだ観ていませんが、映画の紹介文を読むと、登場人物も同じだし、
この小説版が映画版より時間的に前の物語となっているみたい。
つまり、映画はこれの続きっぽい。ぜひ観てみたくなった。

評価/★★★★☆