
| 誉田 哲也 | (1969.8.18−) |
| ほんだ・てつや 1969(昭和44)年、東京都出身、学習院大学経済学部卒。 2002年の『ダークサイド・エンジェル紅鈴 妖の華』で「ムー伝奇ノベル大賞優秀賞」を獲得しデビュー。 2003年の『アクセス』でホラーサスペンス大賞特別賞を受賞。 他の著作に、警察小説の新たな可能性を拓いて注目を集める『ジウ』シリーズほか、 『吉原暗黒譚 狐面慕情』、『春を嫌いになった理由』、『疾風ガール』、『ストロベリーナイト』、『月光』などがある。 刑事を主人公にした推理小説が多く、警察機構に関する描写が緻密。 その一方、青春小説でも多くの秀作を発表する等、その柔軟な思考で年齢や職業を選ばず幅広い層のファンを獲得している。 |
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*読んだ著書*
武士道シックスティーン
(2007年刊/文藝春秋)
映画化『武士道シックスティーン』(2010年日本)
〔概要〕
宮本武蔵を心の師とする剣道エリートの香織は、中学最後の大会で、無名選手の早苗に負けてしまう。
敗北の悔しさを片時も忘れられない香織と、勝利にこだわらず「お気楽不動心」の早苗。
相反する二人が、同じ高校に進学し、剣道部で再会を果たすのだが…。
青春を剣道にかける女子二人の傑作エンターテインメント。
〔感想〕
すごく面白かったです。はじめは、なんだか堅苦しい思考・発言の香織がとっつきにくかったけど
最初の大会が終わったあたりから物語が徐々に流れ出していき、そこからはドップリはまりました。
物語の構成には「起承転結」が絶対的な条件だけど、「起承」のあたりはすごく勢いがあって面白かった。
ところが、全く予想していなかった「転」のあたりから、なんだか急に駆け足になってしまった印象。
むしろそこから後はエピローグ?と思うぐらいの勢い。
そのあたりをじっくり描くかどうかは、センスの差なのかもしれないけど。
香織に関しては、「なぜ剣道を続けるか」という葛藤に思い悩むシーンがあるからじっくりと感情が伝わるけど
最後がちょっとバタついてる分、早苗に関しては描写が少なかったかなぁ。
主人公は一応香織なんだけど、ダブルキャストっぽい魅力のある二人だから、もうちょっとじっくり読みたかったです。
続編が出ているみたいなので、そちらもぜひ読んでみようと思います。
評価/★★★☆☆
武士道セブンティーン
(2008年刊/文藝春秋)
〔概要〕
福岡の剣道強豪校に転入したお気楽不動心の早苗は、練習方法や考え方の違いに戸惑い悩む。
一方、武蔵オタクの香織は後輩指導に精を出し、旧友をいじめから救う。
2人は夏のインターハイで再会を果たすが、香織はかつて自分を負かした相手と親しくする早苗に、裏切られたと感じてしまう。
互いを思いつつすれ違う2人。剣道とスポーツ、武道と暴力の狭間で2人は、目指す剣道に辿り着けるのか…。
〔感想〕
前作以上に、すごく面白かったです。前作の感想で書いた不満が、すべてここで解消されてるじゃん!
「そうそう、早苗のこういうエピソードが欲しかったんだよー!」と、見事に「一本!」の旗をあげました。
前作は香織、今作は早苗が主人公的な扱い。前作で香織のぶつかった壁に、早苗も同じように悩んでいます。
その姿、まさに青春!前作とこれと、セットで1冊になってれば★5ツでもいいぐらいの痛快作です。
前作で既に登場人物たちのキャラがしっかりと立っているので、そこから物語をさらに拡げられるという「続編の成功例」を
しっかりとふまえつつ、新キャラのレナがすごく強烈な個性を持っているのでワクワクしながら読みました。
あえて苦言を呈するとすれば、章立てが香織と早苗に分けられて語り的な趣が強いのが影響してるんだろうけど
肝心の剣道の試合のシーンはちょっと描写が薄い気もするかな。「カテァアアァーッ」とか、雰囲気があって好きだけど(笑)
さらに続編の『エイティーン』があって、そこで完結するらしい。すぐに読まなければ!
評価/★★★★☆
武士道エイティーン
(2009年刊/文藝春秋)
〔概要〕
お気楽不動心の早苗と、武蔵オタクの香織もついに高校3年生。
早苗は福岡の剣道強豪校で新たな仲間を得て練習に励み、相変わらず硬派マイペースの香織も後輩の指導に頭を悩ませる日々。
そして最後のインターハイが迫る…。さらに、その後に立ち塞がる進路問題。
2人の決戦の行方は?“わたしたちの時代”の武士道とは…?
早苗の姉・緑子や桐谷師範、吉野先生、田原美緒など、2人を取り囲む人々の裏エピソードも収録。
〔感想〕
“武士道三部作”もこれで完結。前2作同様、すごく面白かったです。
ちょっと意外な形での香織と早苗の決着戦。そして、香織と黒岩怜那の激しい最終決戦。
最後まで目が話せず、一気に読んでしまいました。ぜひ更なる続編も読んでみたいなぁ。
評価/★★★★☆
武士道ジェネレーション
(2015年刊/文藝春秋)
〔概要〕
宮本武蔵を心の師と仰ぐ香織と、日舞から剣道に転進した変り種の早苗。
高校を卒業後、早苗は大学で日本文化を専攻。
卒業後は桐谷道場の師範代にして警察官の充也と籍を入れ、桐谷道場裏手のマンションに新居を構えていた。
一方香織は、剣道で大学に進学して、数々のタイトルを獲得。
桐谷道場では、体調不良の玄明に代わって師範代を務めていた。
身体に不安を覚えた玄明は、江戸時代から続く歴史ある道場を閉鎖しようと決意するが、道場をつぶしたくないと願う
香織と充也は、必死に玄明を説得しようとするのだが…。
剣道少女たちの「武士道」シリーズ、6年ぶりの第4弾。
〔感想〕
大好きなシリーズの続きなので、とても面白かったです。
前作までは主役の二人を中心に、様々な登場人物たちと切磋琢磨するお話でしたが、今作では早苗は完全に剣道を引退しており、
香織を見守る脇役となっています。そのあたりは少し物足りない感じかな。
剣道をしない代わりに、武士道と日本の戦争について、新登場人物のジェフと討論をするんだけど
このあたりの早苗の極端な感じ、少し違和感があったかな。そのあたりは賛否両論ありそう。
香織は相変わらずまっすぐに武士道を突き進んでいて、その達するところは桐谷流の裏奥義。
行き着くところまで行き着いてしまったので、これで完全にシリーズは終わりかな?
評価/★★★★☆